「2020」タグアーカイブ

君のことが大大大大大好きな100人の彼女 – 原作:中村力斗 作画:野澤ゆき子

通称「100カノ」。ハーレム漫画の体裁を取った狂気のギャグ漫画であり「ヤングジャンプのボボボーボ・ボーボボ」とまで呼ばれる。「ハーレム」という男の下世話な夢も突き抜けてしまえば「不可能への挑戦」である。

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MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密 – チャーリー・ウェッツェル

アメリカのコミックス企業でありビジネス上の紆余曲折を経て世界でもっとも成功した映画シリーズを作り上げたマーベル社を巡るビジネス書。コミックスのキャラクターについて掘り下げた書籍では無く一企業の来歴を書くビジネス書である為、マーベルが凋落していた時期の描写がもっとも興味深いと感じる。

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私のジャンルに「神」がいます – 真田つづる

2020年6月~11月にかけてTwitter上で盛大にバズった、同人誌を巡る女性の悲喜交々エピソード漫画が書籍化。同人に関わる読者を悶絶させる切り口のエピソードもさることながら、今後の同人界で共有されるであろう「おけけパワー中島(おけパ中島)」という概念を産みだしたことで一つのマイルストーンと言える作品である。

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夢の端々 – 須藤佑実

令和から戦後までの70年間の期間をもって二人の女性の人生を追っていく作品。「数十年単位の長い年月を掛けた関係性」という誰もが一度は書きたくなるようなテーマを戦後の日本を舞台に描くとき、それが「一緒に『いなかった』長い年月」として結実する描写に脱帽する。

百合というジャンルが「女性と女性の間にある関係・感情」を広く扱う言葉であるのなら、本作のような作品をもってジャンルが大きな可能性を持つことの証明としたい。

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ザ・ボーイズ (The Boys) シーズン2

同タイトルのアメコミを原作としたAmazon Originalドラマ。相当にきわどい内容であるにも関わらず大ヒットした。

ヒーローものであるにも関わらず、戦闘シーンよりも現代アメリカを皮肉った描写の数々がメイン。前シーズン感想(記事)で「ヴォートのクズヒーローを一般人がなんとかして倒していく作品だと思ったのに!」とか書いたのだが、「クズヒーローの被害者となった善良な市民が復讐する」という構図ではなく、「クズの敵はまた別のクズ」という形になっているあたり、現代アメリカ社会への反映の結果自然とそうなったんだなと今は感じる。

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タイムパラドクスゴーストライター 市真ケンジ×伊達恒大 全2巻

週刊少年ジャンプ掲載。基本的な考証の甘さと、漫画家の主人公が作品を盗作する展開の割にピカレスクロマンには振らない内容で、おそらく今年のジャンプでは断トツで叩かれる作品となった。

私は判官贔屓というか、ある程度叩かれている作品はもう自分がわざわざ嫌いになることもないな……って気持ちになるからか、この作品嫌いではない。少なくとも連載を読んでいて「一体次回はどうなってしまうんだ!?」という気持ちにさせるという点では凄かったと思う。

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缶乃短編集 無職とJK

百合漫画『あの娘にキスと白百合を』(記事)で知られる漫画家、缶乃の短編集。主にメディアワークス刊行書籍に掲載されていた表題作を中心としているが、他社短編集掲載の作品なども収録されている。

そのおかげでめでたく収録されることになった『それがあの娘のほしいもの』がとってもオススメですよ(邪悪な微笑み)。

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ユリビュート 百合姫読切再録集

コミック百合姫に掲載された読み切り作品の再録アンソロジー。主に2019年から2020年にかけて掲載されたものの中から12作品収録している。

以前、百合姫掲載読み切りで単行本に収録されてない作品の感想を『百合姫の単行本未収録読み切り漫画』という記事にまとめたのだが、その中から3作品選ばれていた。なので本記事はほとんどそこからの再掲。

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仲谷鳰短編集 さよならオルタ

百合というマイナージャンルながら猛烈に評価された『やがて君になる』(記事)の作者、仲谷鳰の短編集。百合作品しか見たことがなかったのだが、男性キャラのナイーブな心情を描く作品もあって広範な才能を感じる。

個人的には『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』シリーズ(記事)で既読だった『いつだって横顔』が本書を通しても一番好き。

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