仲谷鳰短編集 さよならオルタ

百合というマイナージャンルながら猛烈に評価された『やがて君になる』(記事)の作者、仲谷鳰の短編集。百合作品しか見たことがなかったのだが、男性キャラのナイーブな心情を描く作品もあって広範な才能を感じる。

個人的には『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』シリーズ(記事)で既読だった『いつだって横顔』が本書を通しても一番好き。

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『やがて君になる』の仲谷鳰、初にして永久保存版の短編集!

デビュー作「さよならオルタ」や電撃大王掲載の短編、作者個人制作コミック、百合アンソロジー「エクレア」シリーズに収録された作品まで、仲谷鳰の読み切り作品をたっぷり詰め込みました!

さらに本書のための完全新作描き下ろしコミックも収録!仲谷鳰ファンなら必携の永久保存版です!! - KADOKAWA

冒頭収録の表題作は2013年に同人誌として発表した後、2014年に電撃大賞に応募して商業デビューとなった作品。前に「『やが君』の堂島君は元々オリジナル同人で出たキャラ」って聞いたことあったんだけどこれかぁ。でも苗字以外結構キャラ違うような……。この時点ですでに漫画家として完成されている感がある。「ああっ……」と声が漏れるような読後感。(恐縮ながら読んだことは無いのだけれど)元々東方の同人誌で有名な人だったんだよね。こういうの描いてたら人気にもなるわなぁ……。

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本書の約半分は『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』に収録されていた短編が占めているのでそれは既読だったのだが、当時読んで好きだった『いつだって横顔』が全体通しても一番好きだ。自分は「めっちゃ切ない……」みたいに読んでたんだけど、仲谷先生の作品コメントに(要約すると)「エクレア1巻の『幸せは傷のかたち』が重かった反動か、2巻以降は軽めの話になりました」みたいなことが書いてあって「先生、これ軽かったんですか!?」ってなった。

だってさぁ「何着ていこう……」ってなるのは相手の子に見て欲しいからなわけで(ここで同じページに「りーりそんなの見てないから」って台詞入れるのが凄い上手い)、その子がアイドルのことばっかり夢中になってるのに「それが一番かわいい瞬間だ」っていうの「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」ってなりませんか?まぁ私はなったんですよ。

『やがて君になる』の後は百合ではない作品を描く予定とどこかで発言していたと思うのだけれど、描き下ろし(=現時点での最新作)の『やさしくなりたい』がまさしく男性キャラの心情を追っていく作品だった。『さよならオルタ』も男性キャラの心情描写が読後感の多くを占めている作品で印象的だったので、今後は性別にこだわらず色んなの描いてほしいなぁ。「百合描いてくれ!」って言われまくるんだろうけどね……。

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