ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 アニメ版

わたし侑ちゃんだけのスクールアイドルでいたい
だからわたしだけの侑ちゃんでいて?

大人気アイドルシリーズ『ラブライブ!』の『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のアニメ版。

ラブライブなのに物語の構成や演出の妙に唸る「本当にこれラブライブなの?」と言いたくなるような良アニメ化だった。外伝的立場だからできたのか、従来シリーズのアンチテーゼとも呼べる展開が出てくるので驚く。また一見よくある良い子ちゃんメインヒロインを装っている上原歩夢こと『ぽむ』がとんでもない暴れ馬なので、百合厨なら一度は見ておきたい。

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東京・お台場にある、自由な校風と専攻の多様さで人気の高校「虹ヶ咲学園」。スクールアイドルの魅力にときめいた普通科2年の高咲侑は、幼馴染の上原歩夢とともに「スクールアイドル同好会」の門を叩く。

時にライバルとして、時に仲間として、それぞれの想いを胸に日々活動するメンバーたち。

「夢を追いかけている人を応援できたら……。」

9人と1人の少女たちが紡ぐ、初めての「みんなで叶える物語(スクールアイドルプロジェクト)」。

届け!ときめき――。

いままた夢を、追いかけていこう! - 公式サイト

各話感想

1話

  • 既に虹ヶ咲を知っている人間からすると「侑ちゃんどんなキャラなんだ……?」というのが一番の関心だったと思うのだが、めっちゃ馴染んでる。
  • 侑ちゃんが口付けたパン、ぽむが鞄に入れてて吹いた。
  • ぽむのキャラがスクスタと大分違って凄く良い。こっちは「可愛い衣装も歌も好きだからアイドルやりたい!」って言う子なんだな。
  • スクスタを知っている人とそうでない人でぽむの印象が真逆なのが面白い。知らない人は「お、重い……」って感じらしいがスクスタはこんなレベルじゃないぞ!

2話

  • かすかす回。こういう子は動きが付くと強いよな……という予想を遙かに上回って可愛かった。かすかすに限らずこのアニメ凄い動くし滅茶苦茶可愛い。
  • 演劇部の部長にブシロード繋がりでスタァライト(記事)で主人公役の小山百代を当てるセンスが凄い。部長こないだまで海未ちゃんとロンドロンドロンドしてませんでした……?
  • 部長がしずくを連れて行くシーンで、しずかすクラスタが「「「NTRやんけ~!」」」ってなってて申し訳ないが吹いた。この二人は何故か放送数日後から「部しず」という異質なカップリングされててそれも吹いた。
  • 侑ちゃんとかすかすが会話している場面、ぽむの顔だけ映って無くて爆笑した。怖すぎるよぉ!
  • かすかすが『自分がされてイヤだったことを他人に強いていた』ことに気付く展開が凄く良い。散々コメディリリーフとして描いておいて、同じ話の中で「偉い!偉すぎるよ!」な描写入れるの匠の技だな……。
  • 果林パイセンのIQが凄い高くてビビる。「勉強しないで頭が良くなりたい!」って言ってたパイセンはどこに行ってしまったの……?エママのスパダリなの……?

3話

  • せっつー回。アイドルに冷たい生徒会長との対立という伝統行事が思いのほか早めに終わった。
  • 主人公なのに「ラブライブ出なくていいんじゃ無い?」はロックだなぁと思っていたが、よく考えたら初代の2期で穂乃香が言ってた……。
  • 2話でぽむが終始あわあわしてたので今回どうなるかと思ったら割と大人しかった。一方でゆうせつの引き離しは(かすかすと一緒に)してた。

4話

  • 年下愛回。「ソロ活動を推していく虹ヶ咲シリーズの独自性」という全体の流れと、愛さん個人回を兼ねた凄い回。
  • 侑ちゃん堕ち3タテで来てたけどようやく愛さんがストップしてくれた。自分自身で答えを見つけて進む、ラブライブ史上最強のキャラクターだな。

5話

  • エマ回、と見せかけて半分くらい果林パイセン回。スクスタのあなたちゃんがエママ限界オタだったから今回酷いことになるぞって言われていたが濃厚なエマかり回だった。
  • 公式のエマかり推しヤベえなと思っていたら、pixiv百科事典の「エマかり」の項目ヤベえぞと聞いて見てみた(参考:ピクシブ百科事典「エマかり」)。ほ、本当にヤベえ……。
  • アンケートに「友達と思い切り遊ぶ」って書いてあったから遊びに連れ出したり、果林パイセンが選んだ服をエママがPVで着てたり、上のpixivの記事書いた人5話見て昇天してるだろ……。
  • 侑「私スクールアイドルに本当はまっちゃって、だから"みんな"を応援したくって!」ぽむ「えっ?」
  • アンケート用紙よく見ると、果林パイセン、応援の「援」の字書けてないぞ……(フラグ)。
  • 内浦のハグ魔~!5話で早くも9人全員揃ったぞ~!

6話

  • りなりー回。当初は1話目から素顔出ててびっくりしたんだけど、ボードの意義考えたら正解だったなぁと思える回。この回見てからだと、そもそもアプリ出てしばらくするまで素顔分らなかったの変に思えるな。
  • りなりー邸に詳しい宮下メンバー
  • 床の反射でニッコリ顔が映る演出いいよね……(落涙)。

7話

  • 彼方ちゃん回。シングルマザー的魅力が凄いという予想だにしない方向から殴られる。
  • ストレートに滅茶苦茶良い子なんだけどこういう描写は行きすぎると親何やってんの……?ってなる気がする。あとスクールアイドルで有名な東雲学院から廃部寸前だった虹ヶ咲に特待生で行ってるのってなんでなんだっけ?
  • ライブ会場に現れた制服姿のせつ菜が「ガウォーク中川」って言われてて吹いた。同好会の代表で話付けに行く以上はそりゃこの格好になるのは当然なんだけれども。

8話

  • 大女優回。2話以降すっかり浸透した『部しず』がどうなるのか百合厨が固唾を飲んで見守っていた。
  • 蓋を開けてみたらびっくりするくらい濃厚な、しずかす回だった。裏主人公役が部長だったのは演出の妙だなぁ。そりゃ誰かはやってるんだけど「じゃあ、いつから……?」ってなるよね。

9話

  • 果林パイセン回。方向音痴はバレたけど、スクスタで松浦にすらあんな顔させたウルトラおバカはバレずに済んだぞ!
  • キャラクターを視聴者に知ってもらう個人回と全体に向けたテーマが並行する構成になっている本作は、個人回のしんがりで「仲間だけどライバル」をやる宿命が必然的に産まれるのだが、パイセン適役だなぁ。
  • パイセンを焚きつけた綾小路姫乃さんが9話終了後早速ファンの間で強火のパイセンオタにされてて、私も笑顔になりました。

10話

  • ファンの誰もが分かっていた、ぽむの導火線バチバチ回。幼馴染みが嫉妬で爆発するというラブライブの伝統再び。
  • ぽむが主人公だから高坂-高海ラインかと思いきや、南-渡辺ラインと判明したときから(つまり短く見積もって二年以上前から)ファンがいつか絶対に来ると分かっていた展開がとうとうやってきた。(まぁスクスタでももうやってるけど……)
  • ウェブ上の感想での指摘で「学校で合宿」っていうネタみたいな展開が、実は侑と中川の音楽室のくだりの為に用意されていると知って戦慄した。
  • あの音楽室の下り、「お話の始まりと同じ構図・展開が終盤で来る」というオタクが大好きなやつを中川が意識的にやってるフシがあるのが笑ってしまう。
  • 「みんなで叶える物語!」をキャッチフレーズに始まったシリーズの主人公なのに「みんな」がNGワードになるの凄すぎる。
  • この辺からぽむが虚無とか言われ始めた記憶がある。「9人と1人の物語」の1人が歩夢だったとは……。

11話

  • ぽむの重力に惹かれた我々百合厨はこんな回が来るのをずっと待っていた。そういう回。第1話から丁寧に描写してきた不穏な前振りの集大成が今ここに。
  • とてもアイドルアニメとは思えない演出の回で、カメラワークを初めとして完全にホラー・サスペンス。いつ惨劇が始まるとも知れない空気で、終始「歩夢!やるんだな!今!ここで!」ってなった。
  • かすみん「しぇ~んぱ~い!かすみんボックスに1通も無くて悲しいですぅ~!」ぽむ「……」視聴者「「「うああああああああああ!!!!!」」」
  • 侑ちゃんが「違うよ!」って即切り返してぽむの表情も緩んで解決になったかな……って思ったら、地雷は「せつ菜」だけじゃなくて「未来」もだった。スッと出されて5秒足らずで即起爆。侑ちゃんの「違うよ!」が完全にはいったのに…。
  • スマホとスマホでレズセックスの暗示をするアニメは名作。

12話

  • ファンを阿鼻叫喚に陥れた百合乱暴(アサルトリリィ)を「恥ずかしい……」の一言で済ませる女、上原。百合厨(オレタチ)はこの1週間議論しっぱなしだったんだぞ!!!
  • ぽむがスマホのバイブレーションで目を覚ますシーンで時間が6時37分になっているが、637にはAlways and Forever(の文字数)という意味があるんだとか。
  • ぽむが中川と話した後、侑ちゃんの元へ走っていくシーンで背景に「Uターン禁止」の交通標識。こういう暗示多いよねこのアニメ。
  • そんな展開起きるはずないのに「『今まで』ありがとう」で動揺してしまう。「『これから』もよろしくね」で良かった……。

13話

  • 最終回。ぽむのボムをここまで引っ張らなかったのは本当に良かったね(憔悴)。
  • 彼方ちゃんはこのままだとラブ&ピースの方向に行って、シンデレラガールズの有浦柑奈ちゃんみたいな扱いになってしまうと思う。
  • 付けてないな……と思っていた、かすみんの髪飾りが大女優のプレゼントと判明。あまりの出来事に、しずかす推しのユニコーンガンダムも大興奮。
  • 侑ちゃんの為のラストソングという本作ならではの締めに感動していたのに、視聴者の脳内に溢れだした存在しない記憶……!で笑ってしまう。エママのシーン、ぽむ大丈夫なんか?
  • 侑ちゃんがピアノに向かって、ピアノのイントロで始まるエンディングに入るラストで感心。最初から計算してたんだろうか。

総評

凄い面白かった。ラブライブのアニメはシリーズ全部追っているが本作は個人的に断トツで評価が高いし、感想などを見ていくと同じく肯定的な評価の人が多いと感じる。こういうお話が作れたのは一応外伝にあたる作品だからだろうか?本家シリーズだとちょっとできないようなことをやっていてそれが面白い。

スクスタで「みんなの夢とか、本当はどうでもいいの!」と泣き叫んだぽむも相当だと思うが、アニメ版でも負けず劣らず大分凄いことしてる。なんと従来のラブライブシリーズで散々言っていた「みんなで叶える物語」ってテーマを否定する展開になるのである。今までの曲で「未来」って単語入った曲何曲あるかわからないのに「未来」って単語まで地雷だ。コテコテのメインヒロインみたいな面してとんでもないキャラである。

また一方で侑ちゃんはシリーズの名前を冠したメインイベント『ラブライブ』に対して「(それに出ることが不幸を招くなら)出なくていい!」と発言するし、異なるスクールアイドルのイベント『スクールアイドルフェスティバル』を自ら立ち上げる。

ぽむと侑ちゃん、2大主人公のこれらの行動からわかる通り、虹ヶ咲はこれまでのラブライブシリーズに対するメタ的な構図を持ってきている。なんつー展開持ってくるんだよと唖然としてしまった。

スクフェスの他校との交渉が顎クイで相手メロメロになって解決したり、生徒会が中川……じゃなかったせつ菜のファンになってくれたり、表向きは従来シリーズのような明るい展開で進む。それと並行して視聴者には見える形で闇サイドのストーリーラインも進んでいって、ぽむがそっちで「侑ちゃんとずっと一緒に居たのは私なのに」って内心沈んでいるときに、光サイドの方で侑ちゃんの「好きになるのに早いとか遅いとか関係ない」って台詞入れてくるンだからたまらない。匠の技である。

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過半数が連続して個人回をやってるから各キャラの内面にばかりフォーカスしているような印象があるが、全体のストーリーの展開を同時にやっているし、メイン以外のキャラ、すなわちファンや他校のスクールアイドルの描写も入れている。アイドルアニメってたくさんあるんだけど、たいてい「アイドル戦国時代!」みたいに煽る割にこの辺の描写大抵薄いのだが、本作はいっぱい出てくるしお話にも凄い絡んでくるのでシリーズ随一の広がりがある。

なにより、ぽむシナリオの締めになる「みんな」の描写は、ここで描かれたファンの存在無しで成立しない。視聴者の大半は私を含めて「侑ちゃんが私以外のみんなも好きになっていくのが怖い」という感情だけなのかと思っていたはずだが、まさか「私が侑ちゃん以外のみんなも好きになっていくのが怖い」もあったとは。このオチは従来のシリーズの描き方だとまぁ出てこない。

百合厨の受けがいいクレイジーサイコレズ的描写に一見見えるしそういう部分もあるのは事実なのだが、本質的には「自身の変化に戸惑う少女」「身近な人間が変化を受け入れて自分を置いて進んでいくことの恐怖」という思春期の描写として王道の展開だった。この辺を踏まえて見返すと11話で焼き菓子研究会のお菓子を貰うシーンでずっと不穏だった表情が笑顔になっているのが伏線だったことに気づいて思わず唸ってしまう。よくラブライブでこんな話組んだものだ。

オリジナルキャラとして登場した侑ちゃんが、順当に考えたらスクスタのあなたちゃんを持ってくるポジションなのに、明確に違うパーソナリティの人物だったことに当初驚いたのだが、この辺の構成から始まっているキャラクターと考えると納得がいく。侑ちゃんは「こんなに視聴者人気が高いオリキャラ珍しい」と言えるくらい好意的に受け入れられているが、不評に終わった他のオリキャラがそうなった要因を考えると、それとは真逆の生まれかたをした子なのだろう。この辺も外伝の自由度ならではだ。

おかげで放送始まったら「この娘推したいんですけど!」というファンが続出。本編で未来の話をされると「嫌ッ!」と否定したぽむのごとく、最終回後は「もう侑ちゃんとは会えないんだよね……」と言われるたびにファンが「嫌ッ!」と言うのが常態化するようになってしまった。惜しまれるオリキャラって凄いよねぇ。

というわけでラブライブらしからぬ構成に唸った作品だった。まぁでも「ぽむが第1話で渡したパスケースは『決められた範囲にしか行けない』定期券の入れ物で、侑ちゃんを自分の近くに留めておきたい気持ちの表れ」という考察を見かけて戦慄した自分としては、その方向で暴れまわってくれても良かったんですけどねぇ……。(←ぽむは成長できたけど百合厨は成長しないというオチ)

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