プロジェクト・ヘイル・メアリー – アンディ・ウィアー

2021年発表。『火星の人』『アルテミス(記事)』のアンディ・ウィアーの3作目となる。非常に平易な文体で読みやすくSF作品ならではの広大なスケールの話が読めるので、普段SF小説を読まない方にも勧められる。評判通りの超名作であった。

読了の際は、本作はいわゆるネタバレ厳禁作品であり、下記の感想はネタバレ全開のものであることを了承の上で読んでいただきたい。

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機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-

1998年放映。TVアニメ『機動戦艦ナデシコ(記事)』の続編となる劇場版である。オタクであることに対して自覚的であったり批評的であったりもするが表面上は明るかったTV版とはトーンが大分異なり、「無情さ」「やるせなさ」が強調される作風となった。ルリルリを見に行ったオタクたちがこんなにAKITO、AKITO言うようになるなんて……。

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機動戦艦ナデシコ

1996年放映。悪名高いスターチャイルド大月Pからすれば(少なくとも当初は)「エヴァに乗り遅れたオタクのためのライトな入口」として目論んだ作品らしいのだが、どんな化学反応によるものか他には無い強烈な個性を持つ作品として産まれた。

オタク作品であるということに自覚的で、自虐的で、批評的で、自己言及性に溢れた尖った作品であり、90年代のオタク文化を語るには避けては通れない作品である。

なお劇場版の感想はこちら

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悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲

1997年リリース。メトロイドヴァニア(Metroidvania)と呼ばれる、今ではお馴染みとなったゲームジャンルの起源となる作品。

肝心のPC版が存在しない一方で様々なCS版があるので、プレイする方はWikipediaの記事(Wikipedia - 悪魔城ドラキュラX 月下の夜想曲)を参考にされたい。なおPS4版は2021年10月のフリープレイの対象になった(Impress Game Watch - 「悪魔城ドラキュラX・セレクション」が対象に! PS Plus、10月フリープレイタイトルを公開)ので、気付いていないだけで所有している人が少なからずいるはずである。

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エンダーリリーズ (ENDER LILIES: Quietus of the Knights)

2021年リリース。開発は元ネバーランドカンパニーのメンバーが多く在籍するLive Wire。

メトロイドヴァニアの中でも随一の親切設計で安心してオススメ出来る一方、これを基準に他のゲームやったら「えっ!?○○って無いモンなの!?」となること必死である。

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ループ8 (LOOP8: Summer of Gods)

2023年、パブリッシャーはマーベラス。AIキャラクターの箱庭ゲームとして唯一無二とされた伝説的ゲーム『高機動幻想ガンパレード・マーチ』(2000年発表)の精神的な続編として、ガンパレード・マ-チを送り出したゲームデザイナー芝村裕吏本人がプロデュースした作品となる。
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エヴァンの残したもの (Evan’s Remains)

アルゼンチンのインディーゲームスタジオmaitan69がKickstarterでのクラウドファンディングを経て世に出したアクションパズルゲーム。キモの部分がストーリーにあり、いわゆる『ネタバレ厳禁』タイプの作品で2~3時間でクリアできる。

以下の文章はネタバレ有りの感想になるので未プレイの方は注意されたい。

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さがす (映画)

どんでん返しが連続する、考察しがいのある作品ということで見たのだが個人的には「う~ん」という感じであった。あんまり見ることのない邦画を物見遊山で見に行って、見当違いな感想を持ったのかも知れないけど。

ネタバレすると不味いタイプの作品なので、未視聴の方は以下の本文には進まないこと。

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血と汗とピクセル – ジェイソン・シュライアー

私が差し出せるのは血と労苦と涙と汗だけだ。“I have nothing to offer but blood, toil, tears and sweat.”
(1940年5月13日 ウィンストン・チャーチル)

『大ヒットゲーム開発者たちの激戦記』という副題がまさしくふさわしい開発者たちの悲喜交々を書いている。著者のシュライアーはゲーム系メディアであるコタク(Kotaku)のニュース編集者で、方々に取材して得た生々しい現場の声を本書で明かしてくれる。

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