アメリカのコミックス企業でありビジネス上の紆余曲折を経て世界でもっとも成功した映画シリーズを作り上げたマーベル社を巡るビジネス書。コミックスのキャラクターについて掘り下げた書籍では無く一企業の来歴を書くビジネス書である為、マーベルが凋落していた時期の描写がもっとも興味深いと感じる。
「書籍」カテゴリーアーカイブ
封印作品の憂鬱 – 安藤健二
本サイトは本質的にはゴシップに溺れない善の心を持っているが、自分の意思では業界への下世話な興味をコントロールできない……。
『日本テレビ版ドラえもん』『ウルトラ6兄弟VS怪獣軍団』『みずのまこと版涼宮ハルヒの憂鬱』の3作品について、関係者の悲喜交々を追うルポタージュ。サブカルチャーに対する取材をしている同作者から複数出ているシリーズで、本書はその3作目として2008年に刊行された。
ダークウェブの教科書 匿名化ツールの実践 – Cheena
匿名性を保った通信が行われるダークウェブについての解説書。ダークウェブへのアクセス等に使うツールの具体的導入方法と、ダークウェブの歴史が主な内容。
著者のCheenaはかつてハセカラ界隈において0chiaki(ゼロチアキ)の名で行っていたクラッカー行為で逮捕された人物で、出所後にこの名前を使っている。
処刑少女の生きる道(バージンロード)―そして、彼女は甦る― – 佐藤真登
これは、彼女が彼女を殺すための物語。
7年ぶりのGA文庫大賞であるという一方で、女性主人公で百合要素がある点でも一部から注目される作品。定番ファンタジー設定の裏をかいた独自の世界観と、その設定と切っても切れないメノウとアカリの独自で複雑な人間関係が読者を唸らせる。
アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー
世界初の百合SFアンソロジー。「女性同士の関係性」(注:恋愛とは限らない)という認識を元に、各作家が各々の個性をぶつける多様な9編が収録されている。
裏世界ピクニック1 ふたりの怪異探検ファイル – 宮澤伊織
「知ってる? 共犯者って、この世で最も親密な関係なんだって」
「ネット怪談×異世界探険」と題したSFサバイバルホラーだが、異世界を探検する女性コンビの百合描写にも力が入っている。コミュ障人見知り主人公の空魚(そらを)が相棒の鳥子へ送る湿度の高い視線、依存・執着を一人称でじっくり書くのが素晴らしい。根暗はやっぱりこうでなくっちゃ!
ユリイカ2019年4月号 上遠野浩平特集
文学、思想などを広く扱う芸術総合誌ユリイカの2019年4月号で作家の上遠野浩平を特集している。20年前に発表されたデビュー作の「ブギーポップは笑わない」が、2019年初頭からアニメ化されたタイミングでの特集となる。多数の寄稿が掲載されており上遠野の対談も収録されている。
SFマガジン 2019年2月号 (百合特集)
早川書房のSF専門雑誌SFマガジンが百合特集をしたら想定以上に売れに売れ、発売前に売り切れて新しく刷ってもまた秒速で売り切れを繰り返す異例の事態となった。
やがて君になる 佐伯沙弥香について – 入間人間
告白なんてされたのは初めてだった。 なにを考えればいいのかも分からない。 ……そして、これからずっと先に、ふと振り返ると。 最初に告白してきたのが女の子だったのは、そういう運命の暗示だったのかもしれない。
人気百合漫画『やがて君になる』(記事)のスピンオフ小説。著者は『安達としまむら』シリーズの入間人間。
本編中において「もう絶対勝利させては貰えないサブポジション」でのたうち回る佐伯沙弥香先輩が主人公。本編読んでいると主役カップルよりもずっと心情描写に印象が残るキャラで、外伝で掘り下げするとなったら他には考えられないという人物でもある。スピンオフ作品は原作知ってるとなんか違うなという違和感が出ることも多いのだが、後書きで原作者が「あまりに紛れもない佐伯沙弥香」と書いているとおりでさすがと言うほか無い。
観察力を磨く 名画読解 – エイミー ・E・ハーマン
不快な内容を伝える練習をするのに、アートに勝る教材はない。物議をかもす作品や、醜いものをテーマにした作品はいくらでもあるし、何よりアートは、鑑賞者ひとりひとりに対して平等に存在する。自発的に動いたり、返事をしたり、家までついてきたりしない。時間を超越していて、見る人の解釈にかかわらず、そこにある。 (p259)
観察力を磨くためのセミナー
を警察や大企業に行っている著者がそれを書籍化した作品。なおタイトルに名画とあるが訓練の題材として使っているだけで、本書は美術を専門とした本ではない。