MARVEL 倒産から逆転No.1となった映画会社の知られざる秘密 – チャーリー・ウェッツェル


アメリカのコミックス企業でありビジネス上の紆余曲折を経て世界でもっとも成功した映画シリーズを作り上げたマーベル社を巡るビジネス書。コミックスのキャラクターについて掘り下げた書籍では無く一企業の来歴を書くビジネス書である為、マーベルが凋落していた時期の描写がもっとも興味深いと感じる。

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マーベル・スタジオはどうやって成功したか?

(中略)もしマーベルがどうして成功したか本当に知りたければ、マーベルのコミックスを知る必要がある。マーベルのコミックスを理解すれば、マーベルがいつどのようにはじまったかわかる。マーベルの成功はスーパーヒーローではなく、ブルックリンの貧しい少年が起こした。時代が20世紀に入ってまもなく、マーティン・グッドマンがマーベル社を創設したことに端を発する。

スーパーヒーローが何人も登場し、膨大な数のキャラクターがあふれ、キャラクター同士がおたがいの世界でぶつかり合い、アーティストも業界人も力をあわせて会社のビジネスを発展させる。こうしたマーベル・スタジオとスタジオの特色の多くのは、すべてグッドマンが会社を創設したそのときからはじまったのだ。 だからここから話をはじめよう。(「プロローグ」より) - 総合出版すばる舎

MCUを一通り見て多分マーベルの1ファンくらいの人間であるが、マーベルという企業についてまとまった知識が欲しかったので読んでみた。

漫画ばっかりですっかり活字を読まなくなってしまったが、本書は凄くスルスルと読めた。「読書のスピードは内容に既知の部分が多ければ多いほど速くなる」の典型のような読み方だった。といっても新しく知った情報が多かったので、そのたびに(kindle上で引けるデジタルの)マーカー引いてたらマーカーだらけになってしまった。

関係する人物としては知っていたけどそんなエピソードが……っていうのが多い。初期のマーベルってマジでスタン・リーそのものだったんだなぁ……っていう。属人にもほどがある制作体制に目眩がする。スタン・リーが創業社長のマーティン・グッドマンの甥っていうのも恥ずかしながら本書で初めて知ったのだが、労基署は何してたんだと言いたくなるようなこの働きじゃ誰もコネとか言わんわな(実際コネとか何にもなしに入ったので、それを知らなかったグッドマンは社内で甥のスタンリー・リーパーを見つけて「おまえ、ここで何している?」ってなったそうな)。

今現在でも人気のあるキャラクターを次々と生み出した快進撃もつかの間、ビジネス上では凋落の日々が続く。マーベルが紆余曲折あった会社だったのは知っていたが、アメリカが契約社会であることをまざまざと見せつけるようなビジネス上の転がしの連続である。マーベルを買った会社が「スーパーマンの権利を買ったぞ!(注:スーパーマンはマーベルではなくDCのキャラクター)」とか、フィクションじゃなくて本当にあるんだなって……。

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著者のチャーリー・ウェッツェルはビジネス系ライターで本書も実際のところビジネス書なのだが、この中盤のドタバタが本書で一番興味を持った部分。多分マーベルを書いた書籍って大抵「あの有名キャラクターがこんな風に産まれて~」的なコミックスファン的な視点で書かれていると思うんだけど、ウェッツェルはコミックスのファンってワケでは無いらしく商業的な評価は書くけどそういうのはあんまり書かない。

MCUの超絶ヒットは色んなところが書きたがるから情報もたくさんあるんだけど、この辺のことってまとまって読む機会無かったから読めて良かった。まぁ会社としてもあんまり説明したくないよねこの部分。この辺でキャラクターの権利を切り売りして、スパイダーマンがソニーに行って、X-MENとファンタスティック・フォーが20世紀フォックスに行ってしまう。

それで売れ残ったキャラクターで始めたMCU誕生からの超サクセスストーリーが始まるわけだ。この辺からはある程度知っていると思っていたら知らないことも結構出てくる。色んな計算の上でやってるんだなぁと思っていたが思ったよりライブ感あるというか状況に応じて色々追加していったようだ。『アイアンマン』のED後にニック・フューリー出しておいたから他作品に繋げられるぞ!って、繋げなかったらサミュエル・L・ジャクソンの出番あれだけだったんかい、とか。一作品ごと一作品ごとに良い作品であることを優先してやっていたそうなのだが、結局それが良かったんだろうな。

訳者あとがきが終わった時点でkindleの進捗が63%だったので「おや?」と思ったのだが、それ以降全部参考文献だった。久しぶりにこういう分配の本読んだな。こういう企業だから根も葉もない噂も多々有るが、ソースとなる部分にこれだけ割いて構成した本書が読めて良かった。


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