マーベルズ – カート・ビュシーク


第二次世界大戦の時代から出発し、ヒーローとヴィランの登場で変わっていくマーベル世界のアメリカの数十年を、新聞記者フィル・シェルダンの目を通して描く。「マーベルヒーローの最大の敵はあの世界の市民」とアメコミファンに度々揶揄されているが、本作ではヒーロー・ヴィランたちに圧倒される市民が主人公となる。

マーベルはDCと比べて「一冊で完結している名作」というものに欠けている印象があるのだが、本作は珍しくそれに該当する作品なので気軽に読める……と書いたものの、マーベル史に詳しければ詳しいほど面白いだろうなぁこれ。

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太平洋戦争前夜、野望に燃えた若者達がいた。カメラマンを目指すフィル・シェルダンもその一人だった。しかし、突如現れはじめた超人類達の存在が、彼の人生に大きな影響を及ぼしていく。その人智を超えた力に驚愕し、脅威と戦う姿に熱狂し、やがて人類を脅かす可能性に戦慄する……。我々を遥かに超えた力を持つ存在“マーベルズ”は、人類に何をもたらすのか!?  リアリスティックな視点が冴えるカート・ビュシークの脚本と、全てのコマが芸術の域にまで達したアレックス・ロスのアートが生み出した至高の傑作を見よ!! – ShoPro Books

この間読んだ『アストロシティ:ライフ・イン・ザ・ビッグシティ』(記事)で一般的な市民からヒーローを描く手法が印象的だったカート・ビュシークだが、この手法を最初に披露して話題になったのが本作品と聞いて読んでみた。元々有名な作品だと言うことは知っていたのでこっちを早くに読んでおけば良かった。

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終盤にある「マーベルズ:出展」のページ見て初めて分かったのだが、作中のエピソードってこの作品のオリジナルでは無くて実際にマーベルが出版した過去のエピソードを別視点から見るように構成してるんだな。それが分かってから見る目が変わった。日本と違って作品の版権を持っているのが作者個人ではなく出版社なのでこういった引用が難なく出来るという事情が上手く機能している。現実世界の社会を反映させてきたマーベルコミックスのエピソードをそのまま年代順に描いていくと、自動的に現実のアメリカ近代史を描いていくことになるというのが面白い。マーベル年代史は実は近代アメリカ史でもあるんだね。

そういうわけで序盤のほう(「マーベル・ミステリー・コミックス」からの出展が多い)はあんまり知らないキャラが多い。あと知っててもデザイン全然違くて「この時代のバッキーもろにバットマンのロビンだな……」ってのもある。あと最初のエピソードでヒューマントーチが出てきたとき「あれ?ファンタスティックフォーの兄ちゃんじゃ無かった?」って感じだったが、どうやらマーベルの前身であるタイムリー・コミックで同じ名前の別キャラがいるらしい。その後普通にFFの方も登場するんだけど代替わりになったような描写も無いから「ああ、また2代目とかそんななの?」って思ってた。

終わりがちょっとあれっ?と言う感じで残念。凄い良いアイデアの構想だから、なんか良い終わり方あっても良かったかなって気がする。あんなにヒーローが批判されていたけどそうじゃない人もいるよ!っていうのをモブ市民で表現するとかそんな方向で……。


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