百合というマイナージャンルながら猛烈に評価された『やがて君になる』(記事)の作者、仲谷鳰の短編集。百合作品しか見たことがなかったのだが、男性キャラのナイーブな心情を描く作品もあって広範な才能を感じる。
個人的には『エクレア あなたに響く百合アンソロジー』シリーズ(記事)で既読だった『いつだって横顔』が本書を通しても一番好き。
微博(Weibo。Twitterが使えない中国におけるSNSで、しばしば中国版Twitterとされる)で大ヒットし、日本にも翻訳上陸した漫画。百合作品ということで紹介されて読んでみたが、主人公の女の子二人以外の(男性キャラを含んだ)キャラクターもしょっちゅう出てくるので、高校青春ものといった方が近いかも知れない。
世界唯一の百合専門雑誌『百合姫』に掲載された読み切りで、単行本には未収録の為その号を読む以外に閲覧手段が無い作品の感想をまとめた。対象期間は電子書籍化した2017年1月号以降で、新しいものから順番に古くなるようにしている。
追記:……という触れ込みでこの記事を作ったのだが、私と同じようにあの読み切りを単行本で読めるようにしたいという要望が高かった為か、『ユリビュート 百合姫読切再録集』という再録本が(電子書籍のみの発行ではあるが)出版された。
そういうわけでこの記事に掲載していた、純玲『スノウトーク』、さかなや『蔓日々草』、のちむゆ『わたしのこい』の3篇の感想はそっちの記事に移すことにした。めでたいことではあるが、この記事はちょっとスカスカになっちゃったかもね。 続きを読む 百合姫の単行本未収録読み切り漫画
全8話の短編集であるが同一の世界の話で一部登場人物が重複するところがある。最初の2編で闇の百合として読んでいたのであるが、途中から「こ、これ結構真面目なテーマに行ったな……」と狼狽えた。主にGLの方向から見たマイノリティテーマの話。
「何かあった?」
「何かない日なんてないの」
青年誌的な躍動感ある絵柄から迸る激情の嵐が、作者が無名の新人であるにもかかわらず発表当初から話題になった衝撃作。いわゆる『萌え』とは異なる文脈の作風であるが、女性間の強烈な感情の描写が特に百合のファンの間で『巨大感情』とされ話題となった。
本記事はネタバレで描いているので、読んでいない方はこんなサイト見てないで取りあえずComicWalkerかpixivコミックあたりで1話目の試し読みをオススメしたい。読んだら次の瞬間にはAmazonとかでポチってしてますよ、きっと。
『トライガン』作者、内藤泰弘の異界アクションバトル漫画の続編。「最初から最後まで1本描くと漫画力が上がるなら、48P完結1本よりも16P完結3本の方が経験値は上がるはず」という思想で基本的に一話完結で構成されており、突飛な設定を上手くまとめたエピソードを読むことが出来る。
週刊少年チャンピオン掲載作品であるが、秋田書店作品のカラーからするとかなり異質な作品。著者の板垣巴留が『刃牙(バキ)』シリーズ作者である板垣恵介と父娘の関係にあることでも話題になった。
百合方面に力を入れ始めた電撃から発売されている百合アンソロジー。業界から引っ張ってきた強力な人選が良かったのか好評を博して現在5巻(無印, blanche, bleue, rouge, orange)目まで発売されている。
当初は1巻完結で短編予定で描かれているはずだが、続刊に伴って連作になっているものも多い為、興味のある方は(可能なら)無印からをお勧めする。自分は1~4巻に連作で掲載された結川カズノ先生の『雑草譚』が好み。
青年誌寄りの味わいと美麗な絵の著者の初連載ということで大期待だったが、2巻完結になってしまいショックを受けた。歪んでいるともいえる深い愛情を持ち味とする著者が、普段よりマイルドにしつつも暗い感情を描き上げている。なお元カノと縒りを戻す元サヤ百合という珍しいジャンルの作品でもある。
ゆるゆり作者なもりの短編集。1巻はオリジナル同人誌の再録本、2巻は百合姫の読み切りを掲載したもので1巻から7年ほど経ってからようやく出版された。
代表作ゆるゆりの作風からきらら的な内容を想起しがちであるが、どれも王道とも言えるハッピーエンドな百合作品である……2巻の途中までは。