マイ・ブロークン・マリコ – 平庫ワカ


「何かあった?」
「何かない日なんてないの」

青年誌的な躍動感ある絵柄から迸る激情の嵐が、作者が無名の新人であるにもかかわらず発表当初から話題になった衝撃作。いわゆる『萌え』とは異なる文脈の作風であるが、女性間の強烈な感情の描写が特に百合のファンの間で『巨大感情』とされ話題となった。

本記事はネタバレで描いているので、読んでいない方はこんなサイト見てないで取りあえずComicWalkerpixivコミックあたりで1話目の試し読みをオススメしたい。読んだら次の瞬間にはAmazonとかでポチってしてますよ、きっと。

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あたしは骨になったマリコと、最初で最後の旅に出た。
柄の悪いOLのシイノは親友の死を知り、ある行動を決意した。女同士の魂の結びつきを描く鮮烈なロマンシスストーリー! – 角川書店

第1話がWEB上に掲載されるやいなや盛大にバズり、流行に疎い私の所まで「巨大感情ヤベえ百合が来た!」と百合厨たちの鼻息荒い感想が飛んできて、読んだら実際凄かった。闇の百合厨たちがしばしば「闇の百合は片方が死んでから本番」とか言ってたら、とうとう本当にそういう内容の作品がやってきたわけである。

1話目を読んだとき「これ読み切りじゃなくて連載になるのかよ!この後どうやって話続くんだよ!」と心底思ったのであるが、いや凄い、全4話でしっかりまとまっている。シイノの回想を通してしか知ることの出来ないマリコのことが徐々に分かってきて、幸福とは言いがたい生い立ちを通して破滅に向かっていってしまう性分をもった「壊れた」少女にシイノがずっと付き合ってきたことが分かる。

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1話がバズった当初、タイトルがSKET DANCEの『壊れてしまった特別な真理子』を連想させると言うことで若干ネタになっていたのだが、物語の進行で「ブロークン」の意味がはっきりするにつれてそういう人たちもどんどん真顔になったんじゃないだろうか。なにせマリコのような女性は現実にも歴然として存在するわけだし。自分も冒頭のシーンで「『ありゃー唯とうとう死んじゃったのか…』(蛸壺屋の『けいおん!』同人の台詞)みたいだな」と思ってすいません。

「もういない人に会うには自分が生きているしかないんじゃないでしょうか……」

人間は死ぬ、残された人間は生きる。死という取り返しの付かないことから始まった物語であるが、マリコの手紙で救いのある結末に帰着したのは素晴らしい。「大丈夫に見える?」「大丈夫に見えますよ」もいいよね……。

創作作品は「一言・一文章では説明できないような、人間のどうしようもない機微を書く」ということに存在する意義の一端があるとおもっているが、こういう作品を読むと普段は忘れがちなそれを思い出させてくれる。『ハードボイルド(固ゆで)になることの出来ない、落ちたら割れる卵』を描く作品はやはり名作だ……。


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