アクタージュ act-age – 原作:マツキタツヤ 漫画:宇佐崎しろ 全12巻

映画製作を題材にした週刊少年ジャンプ連載漫画。戦闘やスポーツのようなアクションシーン無し、女性主人公という、雑誌の中では異彩を放つ作品である。

そんな次世代少年漫画として高く評価されていたが、2020年8月8日に原作者のマツキタツヤが強制猥褻で逮捕された為に連載が終了するという最悪の終わり方をしてしまった。

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感想

もともと存在は知っていたものの読むタイミングを失ったままだったのであるが、景と千世子が百合界隈で話題になっていたので定期購読していたジャンプ+(=電子書籍版の週刊少年ジャンプ)を遡って追いついた。ついこの間読んだ『ジガ-ZIGA-』もそうだが、虹裏で話題になってるから追いかけるってのが多くなったな……。

この作品は前身となる読み切りがある。週刊少年ジャンプ2017年9月号に掲載された「阿佐ヶ谷芸術高校映像科へようこそ」がそれで、アクタージュ本編では脇役として登場する柊雪が主人公。当時リアルタイムで読んで週刊少年ジャンプらしからぬ内容に凄い関心した(ちなみにジャンプBOOKストアで今でも掲載された号の電子版が購入できる)。ただし明らかに青年誌向きのテーマ・構成のままでは週刊少年ジャンプでの連載は難しいと判断したようで、舞台を五年後、主人公を別に用意して開始した。読切から連載に行く場合、設定だけ変更して同じキャラメインでやるのが普通なのでこれは珍しい例と言える。

演技に関して尖った才能を持つ主人公の景が成長していく過程で、既に大スターとなっている異なる方向性での天才の千世子に会うわけであるが、一般的な百合と言われるような関係というより、この作品特有の独特な距離感にその筋の読者が百合を見出す感じである。千世子はまだ殻を破ってない感じであるが、景は序盤の方で「顔が見えない」とか「好きになれないと思う」って発言してたのに、いつのまにかすっかり天使ちゃんの大ファンみたいになっててびっくり。この辺のギャップがこの先界隈を振り回しそうである。

そんな感じで読み始めたのだが、読切のイメージが強いので今は制作に収まっている雪がやっぱり気になる。連載に切り替えるときに設定変えずに構成したのは、雪の創作者としての業の設定を捨てていないということだから何処かでその先を見たいところなんだけれども。

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原作者逮捕と連載終了

そういうわけで、ちよなぎの巨大感情百合を中心に楽しんで読んでいたのであるが、2020年8月8日に原作者のマツキタツヤが強制猥褻で逮捕されるという事件が起きた。

そして2日後、集英社のホームページで正式に連載の終了が告知された。

去る8月8日、『アクタージュ act-age』の原作担当であるマツキタツヤ氏が逮捕されました。

編集部ではこの事態を非常に重く受けとめて、事実確認のうえ、作画担当の宇佐崎しろ先生と話し合いを持ちました。その結果、『アクタージュ act-age』の連載をこのまま継続することはできないと判断いたしました。
8月11日(火)発売の「週刊少年ジャンプ36・37合併号」の掲載をもって、連載終了といたします。 - 少年ジャンプ公式サイト

これを持って単行本は絶版になったし、予定されていた舞台版も中止。公表はされていなかったものの、アニメ化の予定もほぼ確実にあったと思う。完全に宙ぶらりんの状態になった。余談だが単行本派の人はサナギちゃん知らないと聞いて「マジかよ……」ってなった。

本当にもったいない……。終了した時点で本作は終わりが見えてきていて、今回の大河ドラマ篇が終了したらいよいよ黒沢監督の映画の主演をやってフィナーレという流れがほぼ予想されていたのだがそれを見る機会はもう絶望的である。

もっとも連載終了に抗議するとか最後までやってくれよという気持ちは無い。当然の措置だと思う。だけど本当に勿体ない。本作は「スポーツでもバトルでもない題材」「女性主人公」という次世代の少年漫画の代表で、本作が評価されていること自体に満足していた部分があったのだが、本当に最悪の終わり方をしてしまった……。

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