2020年6月~11月にかけてTwitter上で盛大にバズった、同人誌を巡る女性の悲喜交々エピソード漫画が書籍化。同人に関わる読者を悶絶させる切り口のエピソードもさることながら、今後の同人界で共有されるであろう「おけけパワー中島(おけパ中島)」という概念を産みだしたことで一つのマイルストーンと言える作品である。
「百合」タグアーカイブ
夢の端々 – 須藤佑実
令和から戦後までの70年間の期間をもって二人の女性の人生を追っていく作品。「数十年単位の長い年月を掛けた関係性」という誰もが一度は書きたくなるようなテーマを戦後の日本を舞台に描くとき、それが「一緒に『いなかった』長い年月」として結実する描写に脱帽する。
百合というジャンルが「女性と女性の間にある関係・感情」を広く扱う言葉であるのなら、本作のような作品をもってジャンルが大きな可能性を持つことの証明としたい。
ユリトラジャンプ~ウルトラジャンプ百合アンソロジー~
雑誌「ウルトラジャンプ」に掲載された読み切りを集めたアンソロジー。いくつかの百合アンソロジーを読んでいるが、百合の方向性より作者の個性に振ったタイプの作品が多い本作は百合アンソロジーとしては異色であると思う(というかそもそも「読み切りの中で百合っぽい奴」を集めたものらしい)。
アンソロジーは各収録作品の短さで物足りないことも多いのだが、本作は1作1作のページ数のボリュームが多く、1巻約350ページ、2巻約440ページ、3巻約500ページもある。これは一方で紙での発行がなく電子書籍でしか読めない理由にもなっていると思われる。
まちカドまぞく アニメ版第1期
2019年放映のいわゆる『きららアニメ』。一見可愛い雰囲気の中に時々重い設定が紛れ込む作風の原作が質の良いコメディアニメになり大ヒットした。見たんですが結局「シャミ子が悪いんだよ」は言っていませんでした。
缶乃短編集 無職とJK
百合漫画『あの娘にキスと白百合を』(記事)で知られる漫画家、缶乃の短編集。主にメディアワークス刊行書籍に掲載されていた表題作を中心としているが、他社短編集掲載の作品なども収録されている。
そのおかげでめでたく収録されることになった『それがあの娘のほしいもの』がとってもオススメですよ(邪悪な微笑み)。
ユリビュート 百合姫読切再録集
コミック百合姫に掲載された読み切り作品の再録アンソロジー。主に2019年から2020年にかけて掲載されたものの中から12作品収録している。
以前、百合姫掲載読み切りで単行本に収録されてない作品の感想を『百合姫の単行本未収録読み切り漫画』という記事にまとめたのだが、その中から3作品選ばれていた。なので本記事はほとんどそこからの再掲。
さよならローズガーデン 全3巻 – 毒田ペパ子
1900年のイギリスを舞台にした、英国貴族令嬢と日本人メイドを描く百合漫画。国籍・身分という障害から生まれるドラマと、ヴィクトリア時代に対する作者の熱烈な愛のなせる描写が織りなす作品。
仲谷鳰短編集 さよならオルタ
SQ 君の名前から始まる – 壇九(TANJIU)
微博(Weibo。Twitterが使えない中国におけるSNSで、しばしば中国版Twitterとされる)で大ヒットし、日本にも翻訳上陸した漫画。百合作品ということで紹介されて読んでみたが、主人公の女の子二人以外の(男性キャラを含んだ)キャラクターもしょっちゅう出てくるので、高校青春ものといった方が近いかも知れない。
百合姫の単行本未収録読み切り漫画
世界唯一の百合専門雑誌『百合姫』に掲載された読み切りで、単行本には未収録の為その号を読む以外に閲覧手段が無い作品の感想をまとめた。対象期間は電子書籍化した2017年1月号以降で、新しいものから順番に古くなるようにしている。
追記:……という触れ込みでこの記事を作ったのだが、私と同じようにあの読み切りを単行本で読めるようにしたいという要望が高かった為か、『ユリビュート 百合姫読切再録集』という再録本が(電子書籍のみの発行ではあるが)出版された。
そういうわけでこの記事に掲載していた、純玲『スノウトーク』、さかなや『蔓日々草』、のちむゆ『わたしのこい』の3篇の感想はそっちの記事に移すことにした。めでたいことではあるが、この記事はちょっとスカスカになっちゃったかもね。 続きを読む 百合姫の単行本未収録読み切り漫画