エヴァンの残したもの (Evan’s Remains)

アルゼンチンのインディーゲームスタジオmaitan69がKickstarterでのクラウドファンディングを経て世に出したアクションパズルゲーム。キモの部分がストーリーにあり、いわゆる『ネタバレ厳禁』タイプの作品で2~3時間でクリアできる。

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以下の文章はネタバレ有りの感想になるので未プレイの方は注意されたい。

「エヴァンの残したもの」は天才少年エヴァンを見つける冒険に出るミステリー・スリラーのパズルアドベンチャーゲームだ。日本のノベルゲームにインスパイアされた物語とロジックベースのプラットフォーマーを組み合わせたゲームである。 - My Nintendo Store

Steamでセールをする度に色んなオススメゲームまとめが出てくるが、今年のウィンターセールに合わせて低価格帯作品の一つとして紹介されていた作品。衝撃のラスト系の作品で、かつ短時間で終わる作品と聞いてやってみた。

なのであるが、プレイ後の感想は……あんまり自分向きではなかったかな。「本人にとって真実であるのならそれは真実なのではないだろうか」みたいなテーマ自体は興味深いものの、その材料が上手く調理出来ていないように思える。

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なによりお話を成立させる要素が脆弱で不自然だ。なにせ「自ら乗り込んで自らトドメ刺さないと成立してない」んだから。無理矢理作っただけの状況から人間の本質的なことなんて浮き彫りにならないから、メッセージ性が生まれようがない。例えば「人間の人生はいつ終わるか分からない儚いものだ」ってテーマの作品で、車でひき殺して「ホラ!死んだでしょ?」ってやったって主張できたことにならないでしょう。

この辺の無理が集中したのか、一番蚊帳の外で雇われた他人であるはずの主人公が終わってみると一番謎だ。「ディシス役の女優」という立場で来ているのに、内面の台詞が明らかにおかしい。考察甲斐がある作品ということになっているようだが、真面目に考察していた人ほど肩透かしになっている。

Wikipediaのページを見ると、ほぼすべてをMatías Schmiedなるクリエイターが作っていることが分かる。個人的には物語よりも、ヌルヌル動く高品質なドット絵が非常に良かった。出資した人もこの辺に価値を見いだして投資したのでは無いかと思ったり……、なにせストーリーは出資時点では分からないだろうし。

Not for meではあったものの、インディーゲーム出張先としてお馴染みのNintendo Switch版だけではなくiOS版とAndroid版も有るので、一般的には結構評判は良かったのではないかと思われる。言語も日本語完備で翻訳も自然だったのでインディーなのに凄いなと感じた。ただし感想やレビューを見ると以前は翻訳に難があったらしく、誤字が目立ったり男性キャラなのに女性言葉で話していたりしたらしい。ところで『忍たま乱太郎』と『ドラえもん』の部分、原文ではどうなってるのだろうか?キャラや単語じゃなくて歌詞の部分持ってくるとJASRAC方面でも危ういような……。

上記に書いたとおりクラウドファンディングで出資を募った作品で、高額出資者への報酬として作中で文章・メッセージを出せる権利があったことが分かるシーンがある。ある、というかエンディング後に出てくるのだが、出し方をもう少し考えた方が良かったんじゃないだろうか。しばらく何が起きてるのか分からなかったよ……。YouTube実況者の宣伝と思われるメッセージとかもあるのだが、余韻ぶち壊しである。確かに自然に出すタイミング無いな……とは思うけれども。

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