忍者と極道 – 近藤信輔

決めようか 『忍者』と『極道』 何方(どちら)が生存(いき)るか、死滅(くたば)るか!

『現代版甲賀忍法帖+プリキュア』……という言葉で説明していいのか困る漫画。

昔「なんでもやり過ぎるのがチャンピオンの漫画。エイケンはエロとかなんとか言われてるけどあれは『おっぱいに関してやり過ぎてる』から由緒正しい秋田書店の漫画なんだ」という意見を聞いてこれ以上無いくらい深く首肯したことがあるんだけど、本作からもそんな印象を受ける。

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秋田書店はやっぱ偉大(パネ)ェや……。えっ、講談社……?

トラウマから笑えない少年・忍者<しのは>、表向きはエリート会社員ながら裏では組を牛耳る極道<きわみ>。そんな2人が出会った時、300年にわたる忍者<ニンジャ>と極道<ゴクドウ>の殺し合いの炎が熱く燃え盛る! 孤独を抱えた漢達による、情熱と哀切に彩られた命のやり取り。決めようか…忍者と極道、どちらが生きるかくたばるか!! - コミックDAYS

昔週刊少年ジャンプで『ジュウドウズ』を読んでいて凄い個性的(イケテ)る人来たなぁと毎週楽しみに読んでいたら3巻打ち切りになっちゃって凄い残念だったんだけど、その個性が1億倍くらいパワーアップしたのが本作。

たびたび話題(バズ)ってるから読んでみた。おかげで虹裏(いもげ)でいっつもサムネイルになってて散々見た夢澤兄貴の「みんな!!”麻薬(ヤク)”キメろォォ!!」が、実は「みんな!プリキュアに変身よ!」とほぼ同義だったのを知って無事膝から崩れ落ちたのである。

近藤先生は集英社から講談社に移籍した際に漫画原作者への転向をしようとしていて、元々本作は近藤先生が描いたネームの作画を講談社が募集する企画だったそうな。で決まったんだけどなんやかんやあってナシになって自分で描くことになったんだとか。実際に描かれた本作を見ると作画担当が辞退(サーセン)した気持ち正直分かるし、先生本人が描くことになって良かったと思う。近藤先生のネームの勢いや味を本人以外で出力するのそもそも無理なんじゃ無いかって思うんだよな……。意地悪く言えば『甲賀忍法帖の現代版』で済ませられなくもない内容なのに、作家性の出方が凄まじすぎて無二(ホカジャミランネ)ェ作品になっている。

本作のインパクトをどこから語れば良いのやら……。ポンポン生首が飛んで、「肺の横隔膜と繋がってないと発声できない」という虚無(シャバ)い横槍(ツッコミ)をものともせず、その生首が喋りまくるのがとりあえず本作の最大の特徴である。暴走族神(ゾクガミ)編に至っては車が爆発してるのに何故か首だけ黒髭危機一発(シュポーン)する始末で、非実在(アリエネ)ェだろと滅茶苦茶今更なこと言って爆笑してしまった。

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そんな漫画なんだけれどゲラゲラ笑って読んでいると不意に感動(ナケ)る場面に出くわす。敵の極道サイドのキャラが魅力的で憎めない奴ばっかりなんだよなぁ……。やってることに関して情状酌量の余地はまったくないし「ちゃんと死んでくれ!」って心底思えるんだけど、「悲しい過去……」のまとめ方が上手くてキャラに好感をもって、そしてページをめくったら生首になってる

味方サイドの忍者がそもそも凄く強くて敵サイドの極道側がチャレンジャーの立場にあるの珍しいなと最初思ってたけど、「最強の主人公たちに敵が挑戦していく」のはまさしく青年漫画の作りなんだよね。内面描写が敵側に集中する構造になっていて、「散っていく人間の華」の太鼓完全連打(フルコンボ)だドン!状態。作劇(オハナシ)として上手(ズル)いッスよ近藤先生……!

色々エピソード有るけど、外伝の壊爺の過去エピソード「獅子の華」が凄い好き。宿命に翻弄される友情モノとしての完成度が滅茶苦茶高い。これペン入れ無しのラフでの発表になったけど、どこかで完成させて他の番外編と一緒に単行本化しないかなぁ。本編見てるとライブ感で描いてるように一見見えるけど構成力高いよね。実際本編もプロットを最初から決めて書いてる作品らしく、その辺を踏まえると忍者(しのは)君が1人だけ特異体質もって無くて暗刃特化の「道」を「極」めし者……とかやっぱりアレ?ってなるよね……。

プリキュアネタが滅茶苦茶出てくる本作だが、自分はプリキュア全く知らないから作中のネタをまるで拾い切れてない。長が全姿全能使うときに言ってる「なんでもできる!なんでもなれる! 」が「HUGっと!プリキュア」のキャッチコピーってさっき偶然知ったよ……。余談だが作中作の『フラッシュ☆プリンセス!』は『フレッシュプリキュア!』が元ネタで、知ってる人からすると本作の展開に結構(ガッツリ)関わっているらしい。

プリキュア部分は聖域(テダシデキネ)ェのかと思いきや、プリキュア元ネタにした官僚キャラとかが出てきて普通に死んだりして「オイオイ!無頓着(イ)ィのかよ!」ってなった。普通メディアミックスを踏まえてなんか阻止(ブレーキ)かけるのに、このマンガ全方位にそういうのないんだよな……。海外のAAAゲームとかが最高の自由度!とか謳う一方で子供を殺すのを何が何でも避けてたりするのに、子供だけの殺人集団の敵出してそいつらの首豪快に飛ばしまくるのとか凄すぎる。今って人気出たら何でもアニメ化だけど、非常識(ハミダシ)多過ぎてちょっと非実在(アリエネ)ェ状態になってる。

でもでもこんだけプリキュアリスペクトなんだからさぁ、ニチアサでアニメ化の強請(オネダリ)いっスか……。まぁネタ抜きに大真面目に考えたらNetflixオリジナルでアニメ化したらNINJAとYAKUZAとNAMAKUBIが好きなアメリカとかで人気出ると思うんだけどな……オ願シャス!

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