人気シリーズの最新作。この作品については書きたいことが山ほどあるので、続きを読む方は完全ネタバレで読んでいただきたい。
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シリーズについて
MGS1~3までプレイ済み。PS3を持っていなかったこともあってそれから離れてしまい、結局MGS4は伊藤計劃のノベライズ版で済ませ、ファントムペイン発売の前に慌ててMGSピースウォーカーのノベライズ版(記事)とキャンペーンで安かったMGSVグラウンドゼロズ(記事)をやって予習をしたという具合。
余談でだがメディアミックスは基本的に評価の低い傾向にあるが、MGS4とMGSPWのノベライズ版はかなり出来がいいのでゲームをやる暇がない方にはおすすめである。
ストーリーについて
シリーズの一連の流れは理解して臨んだわけであるが、そういうものだからビッグボスはこの作品でどのように堕ちていきMG1、MG2の悪役に繋がるのか?という予想をしていた。まさか蓋を開けたらビッグボス本人はほとんど登場しないとは思わなかった。(もっとも発売日の前に海外フライング勢発出のネタバレを食らっていたので、ゲームをやる前からあれれ?という感じではあったが……)
無線の内容(というか全体)に遊びが無いことが不評のようだが、これは4あたりからずっとそうなので面白いのが伝統というわけでもないだろう(あまり関係ないがMGS3の無線が和気藹々としているせいで愛国者達(サイファー)としてのメンバーとのギャップが凄いことになってると思うのだが……)。個人的には現代史の絡んだ途上国の情勢や事情が興味深かったのでこちらの方が好みかもしれない。
そういう人間だから声帯虫の設定は非常に興味深いものだった。人間の発音は実際には似通っているので、こういう虫が言語ごとに別個に存在することはまずできないと思うが、発想はかなり面白い。作中でスカルフェイスが発言した(とコードトーカーが作中で言っている)通り、文化の基盤である言語によって殺傷の対象にするかどうかを区別できるというのは、まさしく暴力で支配しようとする人間にとっての夢の武器である。これが利用された世界を書いたら文化や民族に関するテーマの作品がいくらでも書けそうである。
本作のテーマは「Voice」であり、文化の多様性や意思という近代的なテーマを「声」という単語で象徴しているが、こういう設定を通しても語っている点はさすがというほかない。監督が映画好きなのでムービーばっかりと揶揄されることの多い印象のシリーズだが、本当に映画的なのはこういった部分にあると私は考えている。
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ゲーム性について
私は海外のFPS/TPSのゲームをほとんど知らないのだが、日本製でこのジャンルのゲームとしてはたぶん最高峰だろう。だが自由度が上がって色んなことが出来たせいか、「なんでこれ駄目なの?」と疑問に思うようなことも多数出てきた。
代表的なのは○○から逃げろ!(あるいはそこから脱出しろ!)というミッションなのにエリア外に出るとミッション失敗になることだろう。例えばヒューイを連れてサヘラントロプスから逃げるミッションでエリア外に出る(=敵から逃げることが出来た)のに失敗になる。「ヘリコプターを呼んでそれに乗って逃げる」でないと成功にならない……というのは、その先の話の都合意外に理由は無い。
種明かしのエピソード46を除けば事実上のラストエピソードになる、エピソード45(クワイエットが離脱するミッション)ももろにこの欠点をやらかしている。
- 戦車に囲まれた!逃げられないから応戦するしかない!
- エリア外に出ました(=戦車から逃げられました)
- エリア外に出るな!(=戦車と戦え!)→ミッション失敗
という意味不明の展開になる。そもそも正面から戦えない相手に隠密で行こうというゲームで、それまでに戦車に隠れながら行うミッションがいくらでもあるのにこの展開である。このエピソードは他にも
- カズ的にはクワイエットが死んでOKなのに、死ぬとゲームオーバー(すでに前例があるんだから、死体(=英語株)は空中から焼けばよいだけ)
- サヘラントロプスの時には空中からの援護があったが、サヘラントロプスよりも上空への耐性が無い戦車隊にたいして要請しないと何もしてくれない。要請しても一回撃つと帰ってしまう。
- ミサイルを使わないと戦車は倒せないが、補給の弾は要請しても一回につき一セットしかくれない。他のいらない弾薬は付いてくるので容量の問題は無いのに……。
という理不尽な条件がたくさんある。自由度が高いのでゲームの仕様がこういうところで出てくると、ガッカリというかやっぱりロボットを相手にしている印象になる。
技術は大変なものなのだが、ゲームデザインというかファミコンでも最新のゲームでも同じく気を付けないといけないことに注意がいっていない気がする。
エピソード45の最大の問題点はこのミッションが終わるとクワイエットが居なくなることだが、これはこのエピソードをラストミッションにすれば簡単に解決する。クリアしたらタイトル画面に戻り、再開するとラストミッション前に戻っている(クワイエットは普通に居る)というようにすればいいだけだ。イーライが中心となる第3章を省いたのだから楽勝で出来る。
まぁ長々と書いてしまったが、そういうことが不満になるくらい期待のできるゲーム性だったと思う。でもちょっとの段差で進めなくなるのは何とかしてほしいかな……。
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