ABARA(アバラ) – 弐瓶勉

『BLAME!』『シドニアの騎士』等の著作で知られる弐瓶勉作品。圧倒的な画力に気圧される一方、ストーリーや結末は(弐瓶勉自らをして)よく分からない。ジャンルはスーパーバイオレンスSFとかだろうか。

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途方もなく巨大な廟がそびえ立つ世界。人間を捕食し成長する白奇居子(シロガウナ)の出現により、平穏は破られた。謎の男・駆動電次は、正体不明の異生物に唯一対抗できる人型兵器・黒奇居子(クロガウナ)へと変態し、壮絶な戦いに身を投じていく──。事態の裏に見え隠れする企業・第四紀連とは? 殺戮の限りを尽くしながら廟を目指す白奇居子の目的とは? 『シドニアの騎士』『BLAME!』の著者が描く、漆黒の黙示録。 - 講談社

藤本タツキ先生の『チェンソーマン』の感想を読んでいると時々言及されることがある作品……というか藤本先生本人が「チェンソーマンは「邪悪なフリクリ」「ポップなアバラ」を目指して描いています」と発言している(300万部突破を記念した描き下ろしイラストのコメント)。そういうわけで以前から気になっていたのだが、調べたら全2巻で完結していると知って「なんだ短いじゃん」となって読んでみた。

読んでみると言及される理由は確かに分かる。デンジは駆動電次(クドウデンジ)から来ているし、チェンソーマンはモロに黒奇居子(クロガウナ)だ。ビルをガンガンぶち抜いて戦うバトル描写も影響を受けているように見える。

前々から弐瓶先生の絵が凄いことは知っていたが、予想以上に滅茶苦茶な迫力である。読んでいて想うのだが、絵の中に気を抜いた部分があると許せないタイプなんだろうか。なんにも隙が無いというか、描き込みが多すぎてアシスタントさんはどこを担当しているのか?と言う気分になる。普通作者担当とアシ担当の部分って分かるもんだと思うんだけど、これ全然どこで分けられてるのか分からない。

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その一方でストーリーは本当によく分からない。いや、まぁ、昔シロガウナが発生して大惨事になって対抗のクロガウナを開発してなんとか対抗、それから数百年経過して再びシロガウナが現れたのでクロガウナ化実験体的なデンジ君とアニタちゃん・ナユタちゃんが再びクロガウナに……みたいな流れは把握出来ましたよ。分かるんですけどそれまでの描写とか設定がラストの状況どうなってるの?の説明に全然なってないと思うんですけど。

なんか説明が欲しいと思うところで、新装版は作者自身の解説も(たいした分量ではないらしいが)掲載されていることをネット上の感想を読んで知って、旧版を読んだ自分はそっちを読めば良かったと若干後悔。でもAmazonの新装版のページでkindleのボタンクリックしても、旧版の上下巻のkindle版しか出なかったんだよなぁ。新装版は大判で発行されていて「弐瓶勉の絵を大きなページで読む」コンセプトっぽいので電子版無いってことなんだろうか。

で、ネット上の感想に散見される情報からすると、弐瓶先生は自分で描いたにも関わらず設定を全く思い出せないそうで、自身も読んでいて分からなすぎで腹が立つ始末だったらしい。弐瓶先生が描いたんじゃないんですか……?

そういうわけで確かに絵は凄いんだけど……みたいな感想になってしまった。そもそもそういうことを考える作品ではないのかも知れない。描いた作者本人すらも分からないって言ってる作品から要素抽出して漫画描くって藤本先生はエライことしとるなぁ……。

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