カヌレ スール百合アンソロジー

ごきげんよう、お姉様!だいぶ多様なテーマに展開した一迅社の百合アンソロジーだが、本作は原点に帰ってスール百合。「マリみて」が切り開いて久しい地平の作品はどこかで懐かしい。

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好きです…お姉さま。

上級生と下級生が姉妹の契りを結ぶ、「スール」を描く百合アンソロジー。乙女の花園に咲く、「姉妹」たちの想いを豪華執筆陣によるオール描き下ろしでお届けします。 - コミック百合姫

本書はそのスール制度が有る学園設定の話が色々載ってるのだが、個人的に気に入ったのは以下の二つ。

ヨルモ先生の「サイレント・マニフィカート」は最初に掲載されている話なのだが、いきなり「スール制度のせいで私が絶対に『姉』にしようと思ってた先輩奪られた」っていうアンチストーリーで吹いた。これ同日発売の「NTR 寝取られ百合アンソロジー」(記事)に載せるはずだったんじゃないですか一迅社!?今はまだ我慢してるけど「ロザリオなんて関係ねぇ、戦いてぇ」って未来が避けられなそうな笑顔のラストが素晴らしい。

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続く毒田ペパ子先生の「勿忘草の君」もいい。スール姉妹の3人が「1年→3年」「2年→1年」と来て、最後に「2年→1年→3年→2年」だと分かるのいいぞぉ。これ短編でここだけ切り出してるから綺麗な話だけど、瑠奈お姉様も日常的に「りおはさぁ……」って感じだったんだろうなこの調子だと……。

こうして振り返ってみると、スール制度を直球で投げてる作品よりそれが原因で拗れてる話が好きだと気付いた。スール制度という擬似的な恋愛要素のせいで、かえって相手に気付いて欲しかった本心が掬われないのいいよね……。なんでその方向性の琴線に触れるようなのを冒頭2つに置いたのか大層不思議だ。普通最初は王道を置くというか、この本を読む人の中にはスール制度のことよく分からない人だって居……!居ないか。

しかしそれにつけてもスール=姉妹制度を遍く浸透させた今野緒雪先生の「マリア様がみてる」はやはり偉大だ。勇者と魔王の設定に何の説明もしなくてよくなったドラクエのような偉大さがある。まぁ私は疑似姉妹より同じ産道通った実姉妹の方が好きなんですけどね。(←最低のオチ)

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