強烈な演出と凝った構成で(主に百合厨の)アニメファンの心を鷲づかみにしてしまった作品、少女☆歌劇レヴュースタァライト(記事)のファンブック。基本的には電撃G'sマガジンに掲載されていたピンナップ記事の再録だが、その合間合間に監督他のスタッフのインタビューなどが掲載されている。
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演出・構成が凝った作品で、近年でも有数に感心したアニメ。すっかりスタァライトされてしまった訳だが、この見事な作りの屋台骨がどうなっているのか気になって読んだ。
電撃G'sマガジンのピンナップ記事の合間に古川知宏監督他のインタビューが載っているのだが色々興味深い。自分はてっきりブシロード側が設定固めて、アニメ版はそれを製作会社に発注して出来たものだと思っていたのだが、監督の話聞くと全然違うことが分かる。普通に監督が中心となってアニメスタッフとかが設定も作ってたんだな。かなりオリジナルアニメ寄りの出自である。
インタビューで(要約すると)1クールで9人描くには尺が明らかに足りないのでキャラクターをセットにして解決したら百合業界が想像を遙かに超えて盛り上がって驚いたって書いてるんだけど、古川監督のセンスすげえ……。
僕としては「女の子たちによる歌劇がモチーフの作品でも、彼女たちの友情を厚く描けば男性ファンにも見てもらえるかな」くらいの気持ちだったんですけどね!? (p12)
って言うのはそうだねって言うか、老若男女を問わず評価されるものと百合厨に広く熱狂されるものって確かに往々にして不可分だよな。
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余談だが気になっていたスズダルキャットの情報もあった。
これは完全に余談ですが、スズダルキャットの名前の元ネタはSF小説『スズダル中佐の犯罪と栄光』です。副監督の小出君と「まひるにも彼女が愛好するマスコットなにかほしいよね」と話をしていたらお互いにその小説が好きなことが判明して、スズダルキャットが誕生しました。 (p33)
Mrホワイトが凄腕のスパイでその劇中で暗躍する敵キャラなんだそうな。これ『スズダル中佐~』が好きというかこの作品を含むコードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズ全体が好きってことだと思うので、同シリーズの『ママ・ヒットンのかわゆいキットンたち』からヒットンキャットになった可能性もあったかもね。
他にも作詞担当の中村彼方氏のインタビューがあるが、通常完成した脚本から歌詞を作るのに脚本会議から参加していたと聞いてなんか腑に落ちた。中村氏の作詞は作中の内容をビックリするくらい反映してるのだが、こういうところから来てるんだなぁ。公式前日譚漫画のオーバーチュアの原作もやっていて何者だよって感じなのだが、原作者自ら作詞しているに近いんだなこう見ると。
一読してプロジェクトを俯瞰して思うのだが、キャラクター描写や演出に重点を置いたフィーリング寄りの作りにしたのは大正解だったと思う。オタクが作ると「キリンは実はこういう設定があって……」とか作り込んで設定ありきの話になっちゃったりするんだけど、そういう整合性に重きを置かなかったのは良かった。この辺ブシロード系列の先輩で媒体によって設定違いまくりのラブライブ!がちらっと脳裏をよぎるのだが、その辺に縛られず自由に作れたのが良かったのだろうか。
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