バイオショック 1 (BIOSHOCK 1)


恐縮だが…… (Would you kindly......)

2007年発表。ゲーム表現にメタ的な意味を持たせたシナリオと演出が高く評価された。余談ながらアメリカでは有名な作家アイン・ランドを元ネタにする要素があることをプレイ後に知って驚いた。

本サイトはこの記事に限らずネタバレ有りで書いているので、未プレイの方がこのページを読む場合はそれを承知の上で進んで頂きたい。

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1946年、大西洋沖の海中に地上世界の法律や規則などに囚われることなく、科学者達が思う存分それぞれの研究活動に専念するための海底都市が建設された。その海底都市は創設者、アンドリュー・ライアンにより「RAPTURE(ラプチャー ) = ≪狂喜、忘我、恍惚の意≫」と名付けられた。

海底都市ラプチャーにおいて急激に発展してゆく数々のテクノロジーのひとつとしてウミウシの一種から偶然抽出された遺伝子物質アダムは、人間の身体能力を飛躍的に向上させると共に、人としての理性を奪ってしまう代物だった。遺伝子物質アダムを巡り加速していく研究開発戦争は化学者同士の争いの域を越え、ついにはラプチャーに暮らす一般人をも巻き込み、皮肉にもラプチャー壊滅の原因となってしまう。

時は流れ、1960年。大西洋海上、ラプチャー上空で飛行機事故が発生する。海に投げ出された唯一の生存者ジャックは海上に浮かぶ灯台の下にラプチャーへの入り口を発見する。ラプチャーの数少ない生存者、アトラスの指示に従いながら崩壊した海底都市の中核へと進んで行くジャック。彼を待ち受ける運命とは・・・ - 公式サイト

前置き

元々シナリオの評価の高さで気になっていたのだが1,2,Infiniteの3部作がセットになったBioshock CollectionをSteamで75%引きだかで売ってるときになんとなく勢いで購入。

そこからずっといつかやらなければと積んでいたのだが、プレイ時間15時間程度と聞いて「それなら」とばかりにようやくプレイ。プレイ時間短いのをやっていくほうが積みゲーを消化できる分精神衛生に良いよ……。こんなこと言ってるとなんの為にゲーム買ってるのかって感じだけど。

完全に余談であるが、フリーゲームのElonaでビッグダディとリトルシスターだけ中途半端に知っていた。結構本編に忠実な設定で出てきたことを10年以上経ってからようやく知ることになった。

クラッシュ地獄

クラッシュが多いと聞いていたが、ゲーム開始10分もしないうちに(具体的には潜水艇を出てすぐに)クラッシュして唖然とした。ディスプレイをフルスクリーンで拘束してタスクマネージャーもその裏側に立ち上がる為強制終了も出来ずPC再起動。ちなみに私はPC上でTV放送のTS抜き録画やっているのだが、録画最中で再起動すると録画切れちゃうので終わるの待ってからやった。

なので次はフルスクリーン切ってデュアルディスプレイのサブ側で表示して、メイン側で立ち上がるタスクマネージャーと干渉しないようにしよう……と思ったのに出来ない。ウィンドウ状態にしてもウィンドウをドラッグできなかった。なんだこのゲームは……。しょうが無いのでウィンドウ表示にした上で、サブモニタ側にタスクマネージャーをあらかじめ用意しておく様にした。

ウェブ上で色々対策を見てみたが結局上手くいかずその後もクラッシュしまくった。ゲーム中だとメニュー画面開くところで固まってサヨナラすることが多いのだが、一番辛いのはセーブ中に固まること。頻繁にセーブして対抗しようと思ったらそのセーブで死ぬ。

クリア時点でSteam上ではプレイ時間16.6時間と出ているが、クラッシュの影響でパァになった時間含めると確実に20時間を超えている。

ゲームプレイング

正直色々とツラい。別に10年以上前のゲームだからって訳でもないと思う。当時としては最高のグラフィックで描かれた作中舞台のラプチャーは独特な世界観で魅力的だとは思うもののとにかく閉塞感が凄い。似たような閉塞感あるゲームでベイグラントストーリー思い出したのだが、あれは屋外に出たときの開放感が凄まじかった。こっちはそういうシーンは無い。出たら水中だもんな。

その空間の中で常時薄暗い照明と不釣り合いに明るくて狂気を煽る販売機やラジオの音声でホラー感マシマシになっている中で敵が襲ってくるが、本作の敵はほぼ全員ガンギマリのヤク中。それらの要素の複合で気が滅入ってくる。

また全体的になんかテンポが悪いと言う印象がある。

  • シリーズを代表するビッグダディだが、探索の途中で出会うと戦う為の準備他で探索一端保留になる。
  • タレット・カメラ・金庫を見つける度に最良の対処方法であるハッキングをすると、ハッキングがパズル的なミニゲームなので何十回も同じようなミニゲームを探索に挟むことになる
  • 作品世界のフレーバーの表現として録音テープが落ちていているが、再生音声流れている間もリアルタイムで時間は流れているので、無線音声で別キャラが話始めたりする。この音声には重要な情報も含まれているのでちゃんと聞きたいなら待つことになる。
  • 手に入るカメラで敵を撮影するとポイントが加算されて一定量で敵の弱点などが分かったり自分のパラメータが上がるシステムになっている。やれば得だと分かっていたが面倒なので、基本的にビッグダディにしかやらなかった。
  • プラスミドや武器の組み合わせで戦うゲームなのに、プラスミドに制限が掛かる時期があるし、この状況下でもビッグダディに遭遇したりする。(この手のゲームってなんで『ゲームのウリを自ら殺す展開』が入ってくるんだろうか?)
  • 展開上どっかで来るよねって感じではあるが、やっぱり「リトルシスターを守りながら進め!」がある。

あと後半の敵が堅すぎる。アンチパーソナル○○って名前の弾丸か、炎上効果のある武器しか人間キャラにまともにダメージ入らないから「通常弾の存在意義はなんだよ!」って思いながらプレイしてた。ショットガンを至近距離で打っても全然ダメージ入らないんだよなぁ。なのでたくさん種類有るように見える弾丸の内無駄になっているものが結構あって、事実上の弾不足状態が続くのが辛かった。クラフトステーションでピストル用対人弾が作れるのと、ヒートボルトが敵の死体から一部回収できるのが救いだった。

弾丸の数に限りが有るゲームは、弾丸が無いし買う金も無いって状況になると凄いストレス感じる。たいていのゲームで手数の手段が少ない序盤にこうなる(これなんとかならないかね?)のだが、中盤潤沢になったと思ったら終盤またこの状況に。最初は苦手なホラー描写におっかなびっくり進んで探索していた自分も、途中から割り切って流れ仕事みたいに殺人タスクを行うようになっていたので、意識もこの辺のリソース管理に集約するような状態でプレイしていた。

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ストーリー

アトラスが裏切り者なのは全然驚かなかった(「明らかに怪しいのに最後まで良い奴だったらどうしよう」まであった)のだが、終盤の「ビッグダディになるのよ!」って注文の多い料理店展開で「デネンバウム、オメーもかよ!」ってなったのに別にそんなことにはならなかった。てっきり『ラスボスは倒したけど主人公はビッグダディから戻ることは出来なかった』ってオチになると思ってた。(ところでレスキューしたリトルシスターもビッグダディに扮装しなければ味方してくれないんだろうか?と言う疑問がある。ある、というか浄化したリトルシスターに助けられるシーンがそもそもあるのだが)

リトルシスター全員レスキューして実績も解除したのでグッドエンド。バッドエンドの方は、まぁ、その、なんだ、動画の方で見たワケなんだけれども、こっちの方が作品世界に対する情報が多いように思う。レトロアメリカンな崩壊世界でFalloutのイメージ強いから、ラプチャーの外に普通に文明あるっぽいことに驚きだよ。

ストーリーテリング

クリア後に解説をしているサイトをいくつか回ってみたのだが「あっ、この辺が画期的だったの?」ってなってしまった。「ゲームプレイ上当たり前の動作にシナリオ上の意味を持たせる」っていうの結構好きなんだけどな。多分もうその引き出しには過去にやった別のゲームが入ってるんだろう。アンダーテール(記事)と似たような感想だ。

ゲーム表現に意味を持たせるとそのルールが徹底されているのかに疑問が産まれる。たとえば「解毒剤打って支配から解放されてからが真の意味でプレイヤーの自由意志で行うプレイング」という主旨らしいのだが、「指示を出すのがアトラス(フォンテイン)からデネンバウムにすげ変わっただけでやっていることは同じである」ということにも意味があるんだろうか、とか。

ライアンに「人間と奴隷の違い」を説かれた主人公がアトラスの指示に従わずに行動したら別ルートの展開になる、とかでも無いのに「プレイヤーは自分の意思で行動していなかったのです」とか言われても……。自分の選択肢に対する膨大なレスポンスを用意したFallout:New Vegas(記事)やThe Outer Worlds(記事)をプレイした後だと余計にそう思う。(The Outer Worldsは本作の12年も後に発表したゲームだけどさ)

ライアン殺害のシーンは「一人称視点だけどプレイヤーが操作できないシーン」であることに意味を持たせているそうだが、エンディングの「リトルシスター(とラプチャー)を支配するかどうか」も同じ一人称演出なのなんでなんだろうか?とか考えてしまう。『最初はリトルシスターを搾取していたけど事情を知ってラプチャーを救う転換をした人』でも強制的にラプチャー支配のバッドエンドに進むんなら「自分の意思で選んでない」じゃん。洗脳解いても同じじゃない?……と思ったら、開発者のケン・レヴィンいわく2K Gamesからマルチエンディングにしろと言われて仕方なくこの形になったらしい。やっぱりそうだよなぁ……。

アイン・ランドとオブジェクティビズム

ウェブ上で読んだ解説の中で一番「ああ!」となったのは「元ネタ」であった。本作はロシア系アメリカ人作家アイン・ランドが元ネタになっている要素が複数登場する。

アイン・ランド - Wikipedia

ランドはオブジェクティビズム(Objectivism。客観主義と訳される)という思想を持っており、特にベストセラーとなった『水源(The Fountainhead)』『肩をすくめるアトラス(Atlas Shrugged)』という2つの小説において表現した。アイン・ランド(Ayn Rand)を捩ったアンドリュー・ライアン(Andrew Ryan)、フォンテイン、アトラスとそのまんまだ。

アイン・ランド的な思想を持つライアンが作った(本人的には)ユートピアであるラブチャーが既に崩壊していて、そこで始まる話なんだなぁ。敵キャラのイデオロギーの元ネタなのでオマージュという扱いでは無く、ランドが提唱した先鋭的な合理主義に対して、主人公が行う寛容さが(ADAM採取とトレードオフとなる)リトルシスターの救済であると。

『肩をすくめるアトラス』はアメリカ人の思想に良くも悪くも影響を与えた作品で、向こうの知識人が教養として読んでる古典として有名なのでいつか読みたいと思っていたのだが、まさかこんなところで接点を見ることになるとは思いもよらなかった。劇中に出てくる地名にギリシャ神話の神の名前がそこかしこに付いてるけど、アトラスから出発してエリアのイメージに合わせて付けていったのか?

終わりに

シナリオやゲームのストーリーテリングにおいて非常に高い評価を受けていることを知って10年以上気になっていた作品をプレイできて良かった。

3部作なので可能ならコンプリートしてみたいところだが1とInfiniteの評価は良く聞く一方で2の話あんまり聞かないんだよなぁ。ちなみに開発者のケン・レヴィンは関わっていないらしい。


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