2001年放映。二人の少女が暗殺稼業を続ける話であるが、冴えわたる演出、最高の劇伴、社会派なストーリーが私にクリーンヒットした。
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過去を失った主人公・夕叢霧香(ゆうむらきりか)と、ヨーロッパの暗黒街を舞台に「裏の仕事」に生きる仕事人・ミレイユ・ブーケ。とある事件がきっかけで二人はコンビを組み、裏社会の仕事人として仕事を始めることになる。ユニットの名は「ノワ-ル」。実は、その名前には彼女たちの思いもつかない深い意味が隠されていた。(中略)ヨーロッパで、中東で、アジアでさまざまな「ミッション」をこなすうち、お互いにぎくしゃくしていた霧香とミレイユは、互いに相手を相棒と認めるようになる。しかし、そんな二人に忍び寄る謎の組織「ソルダ」の影...。ソルダの正体・目的は? そして「ノワ-ル」の名が持つ真の意味とは? - NOIR公式サイト
なぜ今の時期に2001年放映の作品をって感じであるが、たまたま北米版BDを購入して見る機会があったのでこのタイミング。全26話と特典が入って約4300円。日本では考えられない数字だ。ちなみに本編を収録したBD3枚はTVとPS4で普通に見れた(が字幕は消せず)が、特典を収録したDVDだけリージョンコードの関係で見られなかった(PCで見られたけど)。
真下耕一のセンスが随所に光る作品。特に劇伴の使い方が印象的で、この作品で梶浦由記を初めて知ったのだが演出の重要性を思い知った。音楽が全体的に最高でsalva nosやcanta per meみたいな聖歌をバックにガンアクションをするのがビンビンにヒットした。そういうセンスがヒットしたのは私だけではなかったのか、一時期サム・ライミ監督が実写映画化する話があったが結局立ち消えになったらしい。アニメの時点で独特な作品だが、実現した場合どう料理されたのだろうか?
前半は暗殺の仕事を請け負って世界各地に赴き、(大抵ご当地の社会的なバックボーンと絡んだ)暗殺仕事を1話完結で行っていく形式。その中に時折本筋であるレ・ソルダ関連の話が混じってきて、後半はソルダの話一本になる。のだが正直ソルダ関連の本筋の話がそこまで面白くないので、改めて見るのはやっぱり前半。
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前半はマスターキートンみたいな社会派な話が多くて凄い好き。現地の社会事情が絡んだ単純な善悪ともいえない構造の物語に、古典文学のエスプリみたいなのも入ってきて最高にかっこいい。この路線のまま最後までやってくれればよかったのに。6話「迷い猫」(元KGBで民族虐殺をした老人が贖罪をしている話)、13話「地獄の季節」(絵描きが外人部隊に戻る決意をするが……って話)が特に好きでBD購入の機会にまた見てしまった。いずれも哀愁漂う後味のエピソードで再度見てもやっぱりいいね。
後半も設定自体はそんなに悪くない。敵が昔から世界を裏で支配していた組織って言うのはよくあるが、その組織ソルダが当初の思想から離れて近代化しており、反発した原理主義的過激派の代表がラスボスになるっていうのは今見てもなかなか近代的で興味深い。そんな構造なので、ラスボスと同じくソルダのメンバーなのに反目する派閥が主人公たちに味方をしてくれたりする。そういうところに感心していたからあんまりオリジナルの思想の話に傾倒しないで、カソリック関連の歴史と絡めて社会派な内容にして欲しかったな。
久しぶりに最終回見たが、やっぱり最期の2発の銃声の意味は分からない。多分たんなるイメージ的なもの(二人にとっての過去の象徴である懐中時計が壊れているから、多分過去との決別的なヤツ)で霧香とミレイユが死んだってわけではないんだろう。作中見ていたときには「どう考えてもミレイユ以外のネームドキャラ全員死んでミレイユが回想して終わるだろコレ」って感じだったのに、せっかく二人で生き残って二人で歩いて行ったんだからそういう野暮は御免被りたい。今放映してたら劇中の二人はきっと百合的に盛り上がっていただろうな。
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