ライトノベル分野では数少ない百合作品であるが、「叔母と姪」の近親百合を描いた作品は全ジャンルでももっと珍しいだろう。作者は電撃文庫で百合小説「安達としまむら」を書いている入間人間、イラストは「やがて君になる」の作者で百合業界では有名な仲谷鳰。
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「こういうのが初恋なんだなって、思いましたっ」
いつも背中を追いかけていた、あの人への『憧れ』。夢の中で一緒に過ごした、海辺でのあの子との『友情』。傷つけてしまったあの人への、伝えられない内緒の『想い』。私の好きな人は、私以外の人も好きなのだろうか。たくさんの人と物の中で、その女の子を好きになっただけ。もどかしい想いを描く、少女たちの可憐な物語。 - メディアワークス文庫
色々なところで良い評価をされていたので読んでみた。……のだが、何かよく理解できなかった。あとがきで書いてあるとおり「短編のような長編のような」作品で、短編3篇+締めに1篇という構成で一見それぞれが独立しているように思われるが実は関係性がある。なのでどう関連しているのかなぁ……と思って読んでいたのだが、よく分かんないうちに終わっちゃった。
色々調べていったがやっぱり3章の叔母って芹なんだな。他に該当する人もいないとは思うけど、どうも2章の主人公も彼女らしい。そうすると芹が全体での主人公なのか。2章が夢の中の話だから、まるでつかみどころが無いんだよなぁ……。ところで2章タイトルの「銀の手は消えない」ってロマンシング・サガ3のネタ(夢の中に入るイベントで脱出時にアイテムが消えていくが、「銀の手」だけ消えない)なんだな。知ってるけどなんでこんなところで……。
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お話の方があんまり理解できなかったのでなんだが、「叔母と姪」という珍しい百合関係を書いたことは評価したい。うがった見方をすれば、幼馴染という最強の関係性を持ったアオにまったく眼中に入れてもらえず(これが凄い気の毒なんだよな……ハーレム漫画だけでなく百合でも負けるのか幼馴染)、それ以上の関係を持ち出そうとしたらこれしかなかったのかもしれないけれど。
あともう一つは一番最初のシーンから最後のシーンまで20年以上(最初はアオが小学生なのでこれくらいの期間のはず)の年月が過ぎている話なのも好き。百合って(たいていは学生時代の)短い期間の話になりがちでその後のこと全然考えてなかったりするのだが、意中の相手と結ばれず40近くになるまで一人で生きていたことまで扱う話ってなかなかないんだよな。もしかするとそもそも長期間の物語を書こうとして、こういう構成になったんだろうか。
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