1998年にデビューしライトノベル界に猛烈な影響を与えた上遠野浩平のデビュー作にして代表作のアニメ化。2000年に『ブギーポップは笑わない Boogiepop Phantom』なるタイトルで一度アニメ化された作品だが、それがほぼオリジナルの内容であるのに対して本作は原作のエピソードを映像化した作品である。
元々映像化の難しい作品でう~んとなることもあったのだが、「夜明けのブギーポップ」編が非常に良かったので、いいアニメ化だったという印象である。
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ぼくは自動的なんだよ。名を不気味な泡(ブギーポップ)という――。
エンタテインメントノベルでNo.1シェアを誇るレーベル・電撃文庫に多大な影響を与えた、今なお色褪せることのない名作として、絶大な支持を集める人気タイトル「ブギーポップは笑わない」シリーズが、刊行から20年の節目で待望のTVアニメ化! - アニメ公式サイト
私自身は上遠野浩平ファンとして絶対に見る以外の選択肢はなかったわけであるが、世間的にどうだったのかは何とも言えない。なにせ刊行20周年記念とある通り、かなり時間がたってからの映像化である。アニメ化に先立ってイラストレーターの緒方剛志と製作のKADOKAWAの間でひと悶着あった(参考リンク:アニメ「ブギーポップは笑わない」製作のKADOKAWAが「お詫び」 伝達ミスで原作イラストレーターに一部しか確認回さず - ねとらぼ)ことの方が話題になっていたりして、多分世間的にはこっちの記憶だけ残ったんじゃないだろうか。そこが少し残念。
そういう事件も去って2019年初頭から無事放送となったわけであるが、当初は「う~んこれはちょっとツラいな……」という感想であった。心情描写と会話が主体で時系列が行き来する原作をアニメ化するとやっぱりこうなってしまうというか、ご新規さんはこれ見て話し分かるんだろうかと心配になってしまう(初見の方がいたら原作を見てみると印象がだいぶ違うはずである)。いろいろあったキャラデザもイマドキとは違う地味なもので、私のような既存のファンに色々言われてもいいから今風にして若い人釣ったらいいのになぁと感じる(もっともそんな方針の製作だったら、今更この作品をメディア化しようという気にはならないんだろうけれど)。
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そのあとイマジネーター編で「そうそうこんな話だった」となって、その後の夜明けのブギーポップ編で評価が変わった。全編を通して夜明けの4話が凄く良い。ハッピーエンドとは決して言えないような結末だがどこか爽やかな印象で終わる原作の読後感をここからも感じられる。この4話は連続放送で一気に放映されたのだが、このエピソードにそれを持ってきたのも良かった。1週間おきに見ると伏線とか忘れられてしまうので、群像劇の良さが損なわれずに伝えられる方式として良かったのではないだろうか。
個人的にはもっとも好きな「パンドラ」をやって欲しかったところであるが、初期の話を複数やるのなら歪曲王をラストに持ってくるのは規定事項で、話数制限的に削るとしたらパンドラが最筆頭に来るということもよく理解できる。なにせ歪曲王は「ブギーポップは笑わない」というタイトルのこの作品がラストでブギーポップが笑って終了する物語で、実はこのシリーズはここでいったん終わっているからである。途中の連続放送を含んで全18話構成という非常に特殊な構成になっていることからも製作側が色々な工夫を施していることが分かる。
そういう意欲的な作りもあってか結果的にはいいアニメ化だったなと感じる。難点は人に薦めようとすると最初の「笑わない」のハードルが結構高いだろうなってことぐらいか。
(しかし上遠野浩平のファンにブギーポップのアニメ薦める相手なんているのか?)
(まあいいじゃん)
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