2023年、パブリッシャーはマーベラス。AIキャラクターの箱庭ゲームとして唯一無二とされた伝説的ゲーム『高機動幻想ガンパレード・マーチ』(2000年発表)の精神的な続編として、ガンパレード・マ-チを送り出したゲームデザイナー芝村裕吏本人がプロデュースした作品となる。
作品紹介
この世界は「選択」の連続だ。 『LOOP8(ループエイト)』は、1980年代の日本の田舎町を舞台に、時間をループできる不思議な能力を持つ主人公・ニニの夏を描いたジュブナイルRPGです。あなたの日々の「選択」や仲間と築く人間関係が人類を脅かす厄災<ケガイ>との戦いを大きく左右します。 - Steam
前置き
- 05/12『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』
- 06/02『ストリートファイター6』
- 06/05『世界樹の迷宮Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ HD REMASTER』
- 06/06『ディアブロ4』
- 06/22『ファイナルファンタジー16』
こんなブロックバスターゲームが目白押しな中このゲームやってるなんて、かなりどうかしていると思える。パブリッシャーがマーベラスという時点で最高点65点ぐらいのゲームであることはわかっているわけで、上記作品より優先順位が高いなんて当然有り得ないことだ。まぁ有り得ないんだけど、私は上記全部やらずにこれやったのである。トップの画像はNintendo Switch版だが、自分はSteamでプレイした。
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伝説的タイトル『高機動幻想ガンパレード・マーチ』の精神的な続編として、ガンパレが特徴としていた「AIキャラクターによる箱庭ゲーム」として発売したのが本作である。発売前から気合いの入った『ガンパレ裏話+LOOP8』記事(※)が組まれる等、ガンパレと関連して大々的に宣伝していた。
(※)電ファミニコゲーマー - 『ガンパレ』の企画書、ついに公開━初代PSの伝説的タイトルは、なぜ生まれたのか?そして『LOOP8』へ受け継がれたもの【ゲームの企画書】
感想
マベじゃなきゃあなぁという気持ちと、マベぐらいじゃないと企画通さねぇだろこんなの、という気持ちがある。品質管理部って購入者にPS1レベルのゲームをプレイさせないために頑張ってるんだな……。インディーズでもあるまいに、2023年にもなって雑魚敵のデザインが1種類しかないゲームがリリースされたというのはそれだけでもなかなかクルものがある。
このゲームで衝撃だったことのひとつは戦闘可能メンバーとケガイになるメンバーが完全に別れていることだ。生徒キャラは全員戦闘可能で、かつケガイになり得るんじゃねえのかよ!マキナはOVERSが追い出されてケガイになるのかぁ、OVERSといい日本の神といいレ○プされっぱなしだなマックス先生の妹、と思ったら全然そんなこと無かった。
それが端的というか、基本的な着想は良かったのだが実装する腕が無かったような印象。AIキャラクター箱庭なのに、マキナとマックス先生間の好感度を上げたら和解してボスとして出てくるときに影響があるのかと思ったらそんなことないし、マックス先生戦にマキナ連れて行ってもなんも反応しないしで、「嘘だろ……」ってなった。もう試してないけど、醜女叔母さんとセミも仲良くしてもなんもなんないんだよな?好感度が強さに影響するシステムとかうまく出来たら面白そうなんだけどな。
余談だが、海外では芝村ゲーという概念が全然無くJRPGというくくりで見られるため比較対象がペルソナとかになる、と聞いて爆笑してしまった。
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公式攻略ガイドブックの開発者インタビュー読んだら、このゲームは宮地洋一(『LUNAR』『グランディア』の開発者で、宮地が代表取締役を務めるジークゲームズが本作の開発)から出発しているゲームで、イチカとベニのキャラデザと日本神話を出すことは決まっていて、芝村にその上で依頼が来たことで始まっているようだ。つまり芝村ゲーというよりは宮地ゲーなのだが、営業は上手いこと宣伝したなぁ。
無銘世界観の知識があると、作中の日本神話の置き方もなんか違うな……と思っていたが、さもありなん。ベニが「この事件はあのお方の執着の為せる業よ……」みたいなこというから、「ほー、ラスボスはあの柱かぁ」と思ったら、そのイザナミがタカコから出てきた時の気持ち、お前に分かるか……?
終わりに
ガンパレが流行っていた当時、ガンパレードマーチというゲームの周知を通してAIキャラクターを使ったシステムのゲームがどんどん産まれていくだろうなと、プレイした誰もが思っていたはずだ。ところがフォロワーは全然出てこず、芝村本人が手掛けた『ガンパレードオーケストラ』、『絢爛舞踏祭』、『エヴァンゲリオン2』を除くと、PS2で出たネギまのゲームとジンコウガクエンくらいしか出てこなかった。
まさかそのまま「ガンパレみたいなゲーム」が枯渇状態のまま2023年を迎えて、なんか色々ちょっと足りない感じのジェネリックAIゲームをやることになろうとは当時は夢にも思わなかった。そういうわけで、私がまさにそうなのだが、このゲームを購入した人は購入自体を迷うことは別になかったのではないだろうか。だってこのゲームの購入控えたって「ガンパレみたいなゲーム」やる機会は未来永劫来ないんだから。
AIなんてAAAゲームに携わるような海外スタジオが本腰入れてやれば凄いだろうなぁ……と思うのだが、思うにこのAIを使ったキャラクターシステムに興味を持つこと自体、実は日本的な文化によるものなのではないかという気がする。そう考えると日本神話が下地になっているのはどこか象徴的でもあるし、JRPGという「RPGから出発しているが日本的に魔改造されて、RPG本場の海外勢からは理解できない内容になっているRPG」になっているとも思えるのだ。
その一方で昨年辺りから生成AIが異常な(本当に異常な)スピードで成長していることは皮肉である。今までの着想とはまったく別のアプローチでAI箱庭が出来そうな勢いだ。今自分たちが作っている内容が早晩陳腐化しそうだと悟った開発の心情は如何なるものだっただろうか?
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