明日、きみに会えたら 全2巻 – あおと 響

タイムリープというSF要素をメインにしたSF百合。次の回になったらまるっきり異なる状況で始まったりするので、百合姫史上一番「次回どうなるのか気になる」作品であった。

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14歳の私は、目が覚めたら29歳でしたーー 結城凛子は14歳。3つ歳上の憧れのお姉さん・花野あかりの卒業式に、ずっと大切にしていた恋心を伝える決心をする。

そう決心して眠りについたが、目が覚めると横にはあかりそっくりの女子高生・橘小春が寝ていた。その子に突然「おばさん」と呼ばれてびっくり。 しかし鏡を見ると自分の姿は確かにおばさんに…!? 昨日まで中学生だったはずが、29歳OLになっていた…! 自分を慕ってくる中学生・橘晴日、大人びた幼女・橘日向に囲まれ、凛子は失った時間を、奪われた想いを取り戻す決意を固める。新しいタイムトラベル・ロマンス、開幕。 - Amazon

2巻乙になって本来とは違う進み方をしたと思う。あかりは序盤の描写的に敵役だったんじゃないかな。畳まなきゃならなくなって、そうなると素の作家性みたいなのが出てきて、結局みんないい人になっちゃったみたいな。

あおと先生、作風というか意図して描かないとみんないい人になっちゃいそうなんだよな(あとみんな巨乳になると思う。アオリかなんかで小春ちゃんが巨乳JKって書かれてた記憶あるけど、みんなムッチムチじゃないですか、あおと先生ェ!)。単行本派の人は1巻ラストで四条さんが出てきて「1巻のヒキで出てきた……!すわ!ラスボスか!」って思ったら滅茶苦茶いい人だったのでズコーッ!ってなったんじゃないだろうか。四条さんは何の落ち度もないのに「交際していた凛子がある日電波受信して笑顔で自殺」するから本当に気の毒だ。あの後警察から第一容疑者扱いなんだろうな……。

「(選択によっては産まれることすら無い)晴日と日向にもういちど会いたい」という道を選んだEDは個人的に好き。ただやっぱりというかネット上の感想見ると否定的なの多い。主人公以外の人間(しかも男性)の元にヒロイン行かせるっていうのは百合作品ではまぁしないもんなぁ。でもこれって「凛子と一緒になりたかったけれど四条さんのところに送った」あかりと基本的には同じなんだけどな。描かれているとおりこの世界線だと小春ちゃんは天涯孤独で本当に一家離散だ。

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この感想の温度差は自分がSFというジャンルは「実も蓋もない事実を突きつける」と言う部分に魅力がある、と思っているのも関係していると思う。この辺は実際突っ込んだら色々出てくるんだよね。あかりは世界線によっては別の人と結婚してて、その時産まれた子は戻ってこない、とかさ。「想定されている二人が結ばれる」以外の結末への反発が大きい『百合』とSFは水と油みたいなところがあるのかもしれない。

なので普通に小春パパが出てきてあかりとは結ばれないEDで自分的には良かったんだけど、さすがに百合姫でそれは描けなかったのかもな。色々言われているけど私は好きですよ、この作品。

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