アメコミって「ストーリーが凄い暗くて、堅くて難しい言い回しの英語で正義がどうたらとか言ってる印象」があるが、このシャザムは今時珍しいくらいストレートな王道ヒーローもので英語で読んでもスラスラ読めた。
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“魔法”が栄えていた時代は終わり、世界は何世紀にもわたって科学によって支配されていた。だが、一人の少年によってその“魔法”が蘇ろうとしていた。少年の名はビリー・バットソン。若干15歳のどこにでもいる問題児だ。彼は純真な心の持ち主であることを見出され、古の力を受け継ぐ者として選ばれたのだった。しかし、一方で、同じ力を求める邪悪な存在ブラックアダムが古来の眠りより目覚め、ビリーと彼の住む街を破壊しようとしていた。 - ShoPro Books
お話そのものよりメタ的な意味での出自が面白いキャラである。元々DC社ではなくフォーセットコミック社のキャプテン・マーベルという「数多いるスーパーマンの二番煎じキャラ」だったが、本家より人気が出たためにスーパーマンと商標権で裁判争いに。裁判は示談金支払いとなり、以後DC社が版権を購入してからは作品タイトルをシャザムにしてDCユニバースのキャラとなる。更にキャプテン・マーベルという名前のキャラがライバルのMARVEL社にもいる為か、The New 52のとき(つまり本書)からヒーロー名がシャザムに替わる。アメコミのキャラに紆余曲折が無い奴なんていないが、その中でも特にイロイロあったキャラクターなのである。
原語版(英語Kindle版)で読書チャレンジ3冊目であるが『インフィニティガントレット』(記事)『グリーンランタン:リバース』(記事)に比べると英語が平易で凄い読みやすい。なんで私は現代社会舞台の奴より先に、地球外で人知を超えた奴が戦う話を最初に読んでしまったのか……。
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ビリー・バットソン、てっきりありがちなナードボーイだと思ったら全然違った。孤児院のはねっかえりみたいな奴で彼がようやく扶養先が決まったところから物語が始まる。扶養先でいじめられるかと思いきやそうでもなく偶然シャザムの力を入れて大暴れ。「ヤッベ!俺強くね?SUGEEEEE!!!」してBACOOON!!という、少年が突然力を手に入れたら何をやるかみたいなこと一通りやるのがスゴい。そんな孤独な乱暴ものみたいな彼であるが家族というキーワードでパワーアップ、まさか魔法戦隊シャザムレンジャーみたいになるとは思わなかった。
博士が発掘した遺跡に入るシーン、扉に漢字(塞・閉?・棋?)が書いていて吹いた……と思ったらブラック・アダムの回想シーンで出てきた魔術師の中に明らかにチョンマゲした日本のお代官様みたいなのが居てビックリ。ワープとかできるから世界中に魔術師がいたってことなのね。魔法が使われていたのって紀元前くらいの話だと思ってたんだけどそうすると普通に数百年くらい前の話か。思ったより最近だな。
アメコミって戦いの前にグダグダやる一方で戦闘の決着は凄いアッサリなイメージがあるがヴィランであるブラックアダムの倒され方凄い。「変身前に戻ってみ?ん?」→「ふざけんな!戻れるわい!SHAZAM!……アアアアア!」って攻撃もしないで砂になっちゃったぞ。設定的にこいつがいないと締まらないような気がするんだが(でも存在を感知してくるから「敵対してる状態で共存」は難しそうだな)このあとどうするんだろうか。博士が見つけた遺物みたいなのが敵になるのかもしれないが、実は死んでませんでしたとかなりそうだ。
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