『トライガン』作者、内藤泰弘の異界アクションバトル漫画の続編。「最初から最後まで1本描くと漫画力が上がるなら、48P完結1本よりも16P完結3本の方が経験値は上がるはず」という思想で基本的に一話完結で構成されており、突飛な設定を上手くまとめたエピソードを読むことが出来る。
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概要
3年前ニューヨークだった都市は、現在、異界と現世の交わるヘルサレムズ・ロットという霧に覆われた街に変わっていた。この2つの世界が交わる魔都において、世界の均衡を保つ為に暗躍する秘密結社・ライブラが存在した!
未知との遭遇、血界の眷属との死闘…1秒先も読めない混沌の世界で、ライブラの戦いの第2章が幕を開ける!! - ジャンプSQ
各巻毎の感想
1巻
アニメ化の際に週刊少年ジャンプに出張して書かれた読切のWacky Jive in HLが収録されているのはうれしい限り。しかし再度読んで思ったが、内藤泰弘ファンですら分かりにくいこのオチを初めて読んだ人たちは理解できたのだろうか?
トライガンでも何やってるのかさっぱり分かんない感じだったが、血界戦線はそれに加えてストーリーが分かんなかったりするので敷居高かったんじゃないかな……。今回の執事回も最初「?」となってしまった。もう慣れたけどね。
ちょうどこの巻に載っている話を連載している機関にアニメが延期の騒ぎを起こし、今まで絶賛だった評価が一変する経緯があったが、巻末では「アニメ化超凄かったっすね」と書かれていて大人の対応だなぁと感じる。トライガンマキシマムの6巻でも大人の対応してるんだよなぁ……内藤先生……。
2巻
表紙のクラウスとスカーフェイスで「あっ、そういえば第一巻なのにクラウスの旦那出てなかったんだ……」ということに気付いた。一応レオと同じく主人公なんだよね……?
収録作品は以下の三篇。
- ゲット・ザ・ロックアウト!!:ライブラ本部にある、文字通り異次元なシステムを乗っ取られてそこに侵入する話。良く分かんないけど例えば一話目でライブラ本部に攻撃食らったりしてなかったっけ?
- パッカーディオの雫:危険な爆弾が酒の飲み比べ勝負の景品に賭けられたためチェインが参加する話。クラウスの旦那の生真面目さで凄い気まずい。
- ミッドナイト・ブルー:内通者をリーダーに秘密裏に処理する副官スカーフェイスの話。腐の人たちはこういう関係好きなんだろうな。
あとがきのヴァラー・モルグリスが内藤先生の後書きに良く出てくる特に意味のない造語かと思ったら、ゲーム・オブ・スローンズに出てくる単語で、ヴァラー・モルグリスが「すべての者は、いつか死なねばならぬ」、ヴァラー・ドヘリスが「すべての者は、仕えねばならない」という意味だそうである。
この作品、著者のジョージ・R・R・マーティンがSFジャンルでも有名な人なこともあってドラマ化する前から第一部だけ読んでたのだが、なんでシリーズ名の「氷と炎の歌」じゃなく第一部の副題がついてるんだろうなぁ?という疑問を以前から持っているのだが、まぁこれは血界戦線に全然関係無いな……。
3巻
カバー折り返しの作者コメントで「今回は念願のヴィランを出せましたよ…!!」ってコメントあるが、そういえばアメコミ大好き影響受けまくりだったにも拘らず今まで何度も主人公たちと相対するキャラって(トライガン含めて)出てこなかったなぁ。読者は初見だけどヘルサレムズ・ロットでは知られているあの厄ネタ!っていうキャラはしょっちゅういるんだけれども。
そのヴィランであるキュリアス、地下に眠っていた超常的アイテムが稼働して人間の形になるという無茶苦茶な登場なのに、「アメリカは世界の警察と言われているが~」っていう凄い常識的な発言で驚く。ヘルサレムズ・ロットには人類を超越しすぎていて人間らしい感情・常識を持っていない敵が多かったから、こういうの新鮮だな。こういう人間臭い奴じゃないとヴィランになりえないのかも。
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4巻
3巻で登場し、いかにも大物みたいに登場しながら一瞬で死んであっけにとられたヴェネーノの話に続きが。どうやら次元刀(センファノーメ)を受け継ぐ(というか遺言を聞くに、一種の呪いみたいな感じなのかな)一族らしく、娘のヴェネランテが新しい次元刀使いになる。なんか今までに見なかったタイプのキャラである。会計士(では実際には無いんだろうけど)のゴードンがいい味出してる。こういう忠実な部下ってキャラ好きなんだよな。
5巻
一話ごとの区切りが長くなる傾向にあるが、この巻は全2話収録。後半のMy Life as a Doc、ルシアナ先生は「医者の職務に殉じるけど……やっぱつれぇわ!」って感じなんだろうか。てっきりライブラは警察の連行中に入る横やりから犯人守るのかと思ったら普通に殺しにかかってて、病院のルール無かったらすぐ終わる話だったんだな。
あとがきで「警部補がしょっちゅう出るけど、現代劇で犯罪やったら警察出るの当然だから!」ってやってるけど、あの化け物だらけの街でライブラが対応するような最高レベルの犯罪に出ずっぱりって警部補かなりネジ外れてる。何のトンデモ能力も無い普通の人間なのによく気が狂わないな……。
6巻
今巻も2本立て。約2/3を占める『Be quiet & Follow me』前後篇は普段は裏方で余り登場しないパトリックとニーカの掘り下げエピソード。ボスとの戦いの前のエピソードがメインで、イベントボスとの戦い自体はダイジェストで一瞬で終了するの凄い血界戦線感ある。
7巻
毎回2~3話で終わる短編の連続で構成される本作だが、今回はこの巻で終わらない長編『災蠱競売篇』がスタート。
ヘルサレムズ・ロットの外部ってどうなってるんだ?世界ではどう扱われてるの?という読んでて当然思う疑問にようやくちょっと答えが見える。あの世界にもGAFAってあるのね、とかやっぱりアメリカ政府もヘルサレムズ・ロットに対抗出来るSF・オカルトな部隊があるのね、とか。旦那がはっきりと「カロプス人蠱をアメリカ政府の管轄下に収める」事を目的と発言していたけど、ライブラの立場ってそれでいいんだっけ。国防省管轄の部隊に襲撃受けてるのにこれやんないといけないのなかなかツラいなぁ。
3巻で出てきたキュリアスがヴィランチーム強欲の狂人達(グリーディナッツ)を引っさげて出てきたり、4巻で出てきた次元刀使い登場でヒキになったり、オールスター登場でなんか総括感ある。表紙の折り返しで「通算17冊目で前作のトライガンと同じ分量」って書かれてるけど、そろそろ締めに入るんだろうか。
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