早いもので2016年春期から始まった作品も一クールなら終了の時期である。以下は各作品の雑感。
アルファ・ラルファ大通り (人類補完機構全短篇2) – コードウェイナー・スミス
SF作家、コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズの全短編第2弾。一万年以上にわたる宇宙史を時系列上に掲載したマニア向けの原著を和訳したもので、本巻あたりから下級民の権利獲得と<人間の再発見>というシリーズで重要な要素がクローズアップされるようになる。
なるほどデザイン – 筒井美希
普段デザイナーはどのようにしてデザインを決めているのか?を分かりやすく紹介してくれる本。基本的には雑誌やパンフレットのデザインの話になるが、色・写真・グラフなどの話は全般的なデザインに通ずる内容である。
ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日
邦題の副題の通り、トラと一緒に太平洋を漂流する話であるが、単純なサバイバルものというわけではない。また漂流はメインのストーリーではあるものの、そこに至るまでの主人公の人生にも尺を割いているし、見終わるとその部分が重要であることに気付くつくりになっている。
紙の動物園 – ケン・リュウ
中国系アメリカ人であり、中国文化を背景にしたSF作品で注目を集める劉宇昆(リウ・ユークン、英名:ケン・リュウ)の日本オリジナルの短編集。表題作の「紙の動物園」はヒューゴー賞とネビュラ賞と世界幻想文学大賞という、SF・ファンタジーの代表的な3賞を同時受賞するという史上初の快挙を成し遂げた。
ドリフターズ 5巻 – 平野耕太
デッドプール
20億の針(新訳版) – ハル・クレメント
「重力への挑戦(早川だと「重力の使命」)」などで有名なSF作家ハル・クレメントの長編デビュー作。
1950年作品で、帯の宣伝にもあるとおり漫画「寄生獣」や映画「ヒドゥン」の様な共生生命SFの原点となった作品である。新しく新訳版が出たので読んだ。
機動戦士ガンダムTHE ORIGIN Ⅲ 暁の蜂起
ファーストガンダムの前史を描いた安彦良和の漫画の映像化。キャスバルが本物のシャア・アズナブルと入れ替わり、ジオン士官学校で出会ったガルマと共に連邦軍駐屯部隊の鎮圧を行うところまでを扱う。
ニュースの天才
1998年に実際に起きた事件を元にしたノンフィクション映画。
政治雑誌の「The New Republic(ザ・ニュー・レパブリック誌)」は大統領機に乗せられるような伝統のある雑誌であったが、そこに所属する若手スター記者スティーヴン・グラスが約三年間にわたって捏造記事を書いていたことが明らかになるというスキャンダルを映像化している。