FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー

現代の「本当に有った怖い話」。実業家マクファーランドが夢の豪華フェス『FYREフェスティバル』をぶち上げるも惨憺たる有様に終わってしまった実話を扱う。ロジスティクスの軽視、イメージ先行で進むことの危うさ等、現代の寓話とでも言うべき示唆に満ちている。

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オシャレな私有島に集う豪華な音楽フェスとして派手に売り出されたFYRE(ファイア)は、ある実業家の思い上がりとずさんな運営により未曾有の惨事に終わる。 - Netflix

いよいよ辞めること叶わず開始してしまった東京オリンピック(首相からすると「辞めるのは簡単だった。続けることこそがうんたらかんたら」らしいが……)、惨憺たる様相が早くも露呈している本大会に状況が酷似しているとしてTwitterで紹介されていたので見た。信じがたい惨事に終わったイベント、FYREフェスを取り扱ったNETFLIXオリジナルのドキュメンタリーである。

いやぁ酷い。クソ暑い日本の夏(一時期「この暑さからアスリートをどうやって守るのか?」で侃々諤々だったのに、新型コロナウイルスでこの話題すっかり消えたね……)を吹き飛ばすヒエッヒエなエピソードのオンパレード。開催予定地だった「パブロ・エスコバルがかつて所有していた島」が使えなくて別の場所に変更してようやく開催地が決まったと言う時点で残り45日のテロップが出て、序盤からオラワクワクしちまったぞ。

数々に声にならないうめきをあげながらも楽しく見ていたが、終盤の関係者が「本事件を通して傷ついた」と口を揃えて言うのをみて「なんかごめんね……」ってなった。それでも(意訳すると)「前日の夜から豪雨になって逆に笑った」って発言からも分かるとおり、ある程度以上の悲劇ってやっぱりどこかで笑っちゃうんだよな。宿泊先が用意できなかったのでごまかしで用意した避難用テントがこの豪雨で水浸しになっているのだが、う~ん自分でも酷すぎて笑っちゃうかもなぁ。

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色々な学びがあるが、まず総括するのなら一つはロジスティクスの失敗。最初「軽視」って書こうと思ったんだけど軽視じゃないよなぁ。失敗だ。「白い砂浜で有名モデルがキャッキャ」の光景のためにインフラをなにもかも用意しなければならない。宿泊先、食事、トイレ、etc……なんにもない。開催地での作業の話になったときに「電気も水道も来てない」ってなって笑っちゃったよ。

いや本当は笑っちゃいけない。これは何にも用意しないで進軍させて餓死を繰り返した戦時中の日本そのもの。兵站の失敗は大惨事に終わったプロジェクトが共通して起こすことで、まごうこと無き人災なのだ。「軽視」と書きたくなかったのは止めようとしたスタッフはたくさんいたからで、でも「トイレどうするんだよ!」と止めようとした人(序盤にインタビューで登場する)は辞めさせられてしまっている。「止まらない」のだ。

ところで本事件はNetflixの他にHuluでもドキュメンタリーを制作しておりほぼ同時期に放映している。その際、Netflixがメディアの情報操作の張本人であるFuckjerryと共同で番組を製作していたことで、Huluがもはや犯罪者となった主催者マクファーランドへのインタビューで多額のギャラを支払った疑いが有ることで、お互いに火花を散らしているらしい。(参考:大失敗に終わった音楽フェス「FYRE」の特番をめぐりHuluとNetflixがバチバチ -  FRONTROW)。番組外でも地獄だ……。

本事件と比較してみるとオリンピックは

  • FYREは主催が個人で訴えられたが、オリンピックは主催が国で誰も責任を取らない
  • FYREは詐欺だったとはいえ参加希望者が自主的に支払いを行ったが、オリンピックは開催反対者でも有無を言わさず税金から支払われる

あれ?オリンピックの方がかなり酷いんじゃないか?こりゃあ取れ高の山だ。来年あたりに見られるであろうNetflixオリジナル「東京オリンピック2021」に期待だな。

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