2024年公開。新鋭のスタジオA24作。「内戦中の現代アメリカ」という色んな物が描けそう、というか何描いてもコンテクスト含みそうな設定だが、焦点はその中を駆け巡る戦争記者に当てられている個人的にはよく分かんない映画であった。
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作品紹介
「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランドが監督・脚本を手がけ、内戦の勃発により戦場と化した近未来のアメリカを舞台に、最前線を取材するジャーナリストたちを主人公に圧倒的没入感で描いたアクションスリラー。
連邦政府から19の州が離脱したアメリカでは、テキサス州とカリフォルニア州の同盟からなる「西部勢力」と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。就任3期目に突入した権威主義的な大統領は勝利が近いことをテレビ演説で力強く訴えるが、ワシントンD.C.の陥落は目前に迫っていた。戦場カメラマンのリーをはじめとする4人のジャーナリストは、14カ月にわたって一度も取材を受けていないという大統領に単独インタビューを行うべく、ニューヨークからホワイトハウスを目指して旅に出る。彼らは戦場と化した道を進むなかで、内戦の恐怖と狂気を目の当たりにしていく。
出演は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のキルステン・ダンスト、テレビドラマ「ナルコス」のワグネル・モウラ、「DUNE デューン 砂の惑星」のスティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、「プリシラ」のケイリー・スピーニー。 - 映画.com
前置き
日本では2024年10月公開の映画だが、翌年1月にはAmazon Prime Videoでもう見られる状況に。なんか評判良かったよなと思って、なんか見てしまった。
原題は「civil war」。アメリカ映画のタイトルって凄いシンプルになる傾向があると思うが、これも相当だな。なお「The Civil War」と定冠詞を付けるだけで、1861~1865年にアメリカで起こった南北戦争(American Civil War)を意味する。要するにアメリカ人にとって「The」が付く内戦はこの1回だけ、という認識であるわけだが、そうすると本作のタイトルもなかなか意味深に感じる。
制作のA24は2012年に設立された新鋭の会社で「尖った面白さ」みたいな評価を受けているスタジオである。数年前流行った「ミッドサマー」もここ。
感想
前情報無しで見たので戦争映画と思って見ていたのだが、基本的には「内戦中の現代アメリカ」を舞台に、危険を顧みず飛び込んでいく記者たちのロードムービーという感じの内容。
「内戦中の現代アメリカ」っていう設定が魅力的すぎるというか、含んでいるコンテクスト、どう表現しても内包するメッセージ性を考えるとこういう仕上がりにするの?って感じでもある。なにせ2024年11月の大統領選を約8ヶ月後に控えた同年3月にアメリカで封切りされたわけで、どう考えてもそういう言及あると思うんだけどな?
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普通こういう内容なら双方が拮抗してこれからもこの戦いは続いていく……的な終わり方すると思うんだけど、西部勢力(WF=Western Forces)の優勢がもう決まっていてワシントンD.C.は陥落寸前、もう大統領殺されるから死ぬ前にインタビュー取りに行こうぜ!って状況で話が始まる。なのでこの戦争を通してアメリカ描こうって感じでも無い感じなんだよなぁ。
なんつーかこういう描き方、海外の人好きやな?みたいなのを全体に感じる。意識的に淡泊に描くというか、その情報を観客が咀嚼する前に音楽で上書きしようとしてくるところとか。
スナイパー同士の戦いになって緊迫のシーンになっていたのに場面転換して次の車で移動しているシーンになったとき「うん……?回想シーンとかか?」って思ってたら、追ってきた車が身内の車でこっちの車に乗ってくるシーンになって「あ、あのシーンあれで終わり?」って分かって唖然とした。終盤でリーが死ぬシーンは色んなことに対して「あのさぁ……」って感じになった。途中でジェシーが「自分が死んだら撮る?」って言ってた時点で予告されたようなもんだけどさ、なんかもうちょっと……。
終わりに
アメリカ合衆国が50の州がまとまったものなわけだけど、実際こうやって分断する可能性はあるもんなのかね?終盤の戦争シーンがアメリカの現代市街地で行われていて結構衝撃的な絵だなぁと思ったが、アメリカ人にはどう映ったもんだろうか?本来はこういう方面での関心が出ると思うんだけど、なんかそういう映画でも無かったかもね。いや政治的な言及を含んでいても自分には分かんないんだろうけどさ。
もしこの作品が当時既に優勢だったドナルド・トランプへの危惧を含んでいたのなら、その結果が分かった今はなおさら「あんたらリベラルがやるべきことってそれじゃないだろ」感ある。制作のA24で一番評価されたのは多分アカデミー賞取った「ムーンライト」で、これは「黒人男性同士の同性愛」を描いたことで評価された映画だった。トランプが大統領選に勝利した今、この評価は色んな意味で複雑だと思うんだよな……。
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