BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか? – ベント・フリウビヤ ダン・ガードナー

原題は「How Big Things Get Done」。誤解を誘う邦題が良くないけど、サンマーク出版か……。

内容は原題の通り、大きなプロジェクトはどのように成されたのか?成功するプロジェクトとそうでないプロジェクトはどのような違いで生まれているのか?という内容である。

Sponsored Link

概要

本書の著者は、
世界中の1000億ドルを超える
メガプロジェクトの「成否データ」を
1万6000件以上蓄積・研究する
オックスフォード大学教授。
メガプロジェクト研究において
世界最多引用を誇り、
アメリカ・イギリス・デンマーク・
スイス・オランダ・中国など
官民両プロジェクトで助言を求められ、
国策に影響を与えるビジネスとアカデミズムの巨星。

予算内、期限内、とてつもない便益――
3拍子揃ったプロジェクトは0・5%のみ。
計画倒れか、爆益か。
頭の中のアイデアから
超益を生む「BIG THINGS」を実現する方法を解き明かす! - サンマーク出版

前置き

確か誰かが、偉業を成し遂げた「個人」についての書籍だと言っていた様な気がするし、邦題のサブタイトルの「ヤツら」もそういう印象を想起している様な気がする。なので読み始めたらなんか違うぞとなったわけだ。実際の内容は、国家や大企業の一大プロジェクトに成功・不成功はどのように発生するのか?についての研究に関する本である。

著者はオックスフォード大学の教授で、あとがきに

カーネマンとタレブが、オックスフォード大学の私のグループの名誉研究員になってくれたことには、感謝しても感謝しきれない。おかげで知的交流を持ちやすくなり、彼らの影響は本書の随所に表れている。

とある通り、「ファスト&スロー」のダニエル・カーネマンや、「ブラック・スワン」のナシーム・ニコラス・タレブが名誉研究員になっているようなグループの研究者である。読書家にはお馴染みのこの辺の名前が出てくるとなれば、まぁ概ねどういう内容か想像もつく。

Sponsored Link

感想

自分には縁の無いようなビッグプロジェクトの話であるが興味深く読んだ。

ファットテールという言葉を知れたのは良かったかもしれない。確率分布の話になると大抵の人間は綺麗な釣り鐘型の正規分布を思い浮かべてそれに従うと思っているが別にそうではなく、両側の値がとんでもない値になる分布は普通に存在して中央から触れた時に被害損額が青天井になることがある、と言うわけだ(参考:Wikipedia - 裾の重い分布)。本作で扱っている大失敗プロジェクトは概ねこういう分布をしている。

自分のような個人にとって役に立つと言えることもそうでないこともある。本書の基本的な教えは「大きなプロジェクトは分解して、モジュール化せよ」「同じ内容の繰り返しで構成するようにして、1回目より2回目、3回目がブラッシュアップされる効果を狙え」ってところだろう。逆に失敗しているプロジェクトはこれが出来ない・やりにくい性質を持っているもので、「何故オリンピックの予算は際限なく膨れ上がってしまうのか?」「何故原発は失敗が起きるのか?」といった疑問の答えがこれになっている。

他には「その分野に通じたマスタービルダーを雇おう」「よいチームを用意しよう」みたいな自分みたいな個人には全然役に立たないというか、ある程度以上の法人にとっても「それが出来りゃあ苦労はねえよ」って感じのもある。失敗したプロジェクト、別に主導した法人だってこの辺を理解せずに行ってるわけでもないよなぁ。難しいね。

まぁ、こんな感じか。前置きでも書いたけど「個人開発」とかの文脈で紹介されていたのになんか違ったなぁ。それでも興味深い内容だったから良いけど。

Sponsored Link

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です