2024年放映。本編2002年、続編2004年に放映した『ガンダムSEED』の約20年ぶりの完全新作劇場版。TV版放映当時は賛否両論というか猛烈に叩かれていた作品だが、20年の時を経てかなり肯定的な評価になっていて驚いた。
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作品紹介
C.E.(コズミック・イラ)――
遺伝子を調整し、生まれながらにして優れた
身体能力や頭脳を持つ人類(コーディネイター)と
自然のままに生まれた人類(ナチュラル)が存在する時代。
「機動戦士ガンダムSEEDシリーズ」は、
このC.E.を舞台にコーディネイターとナチュラルの間の
戦いを描いた作品である。C.E.71~を描いた
『機動戦士ガンダムSEED』(2002~2003年)、
C.E.73~を描いた
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』(2004~2005年)が
TVアニメーションとして放送され、
その後も様々なメディアで展開された。そしてC.E.75を完全新作ストーリーで描く
『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が、
2024年、ファン待望の劇場公開! - 公式サイト
前置き
本編は全てリアルタイムで視聴済み。当時の凄まじい叩かれ様、荒れ様も同様にリアルタイムで見てきた人間である。特別ファンというわけでも無いのだが、あの時代を最も代表する作品の一つであるからどうしても思うところはある。
映画を見るときは予約して行ってるのだが、金曜の夜に土曜の予約入れようとしたらいつも行ってる一番近い映画館が日中の席全部埋まっててレイトショーしか無かったのでビビってしまった。
「やべぇ凄い人気じゃん……」と映画館に行ったけどパンフレットは無事購入。豪華版なんてあるの知らなかったけど購買部の店員さんに「通常版と豪華版がありますが……」って言われて「豪華版で」って即答した。特典の小説があるが自分の行ったときには全滅していたらしいことを帰ってから知って、残念に思うやら凄い人気だと思うやら……。
感想
20年前、猛烈に叩かれていた作品なので今回も荒れるんだろうかと若干思いつつ公開を迎えたのだが、いざその時が来たらかなり好反応だったので良い意味で意外だった。
20年経過して現実の世界の方も結構変わっていったわけでSEEDも令和仕様になっとるんじゃろうか……?と思ったが、色んな意味で「俺たちの知ってるガンダムSEED」だった。20年間ファンが擦り続け、暖め上げた空気がそのまんま残っている。あんだけ叩かれたんだから思うところもあったと思うのだが、開き直ったというか。『クロスアンジュ』を経ないとここまではっちゃけないんじゃないかなぁという気持ちもあれば、両澤脚本から福田脚本に変わるとこうなるのかなって気持ちもある。多分、両方なんだろうな。
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SEED世界はマジで怒りと憎しみで戦争する世界ってのが踏襲されてて、オルフェの語りのテンションが上がってきたあたりで20年ぶりの感覚で「そう、これこれ!」ってなった。現実の戦争だと「断固として憤怒を訴える!」とか言いながら、本心では(これで大義名分を得ながら隣国のエネルギー資源GET)とか考えていて、それを散々指摘されながらも面の皮厚く建前を崩さない……っていうのが普通なんだけど、コズミック・イラの人類は建前とかじゃ無くて本当にこうなんだよなぁ。
条約で禁止したことを誰も守らないし咎めないのもコズミック・イラ流。「ファウンデーションが核を撃ったぞ!」「これは大変なことだ!」ってなったのに、その後ミレニアムもザフトも核動力使いまくるの本当にSEED。遵法意識って当時と今じゃ大分変わったと思うんだけど、作中であんなこんなになっても「コズミック・イラだから」で視聴者が納得するの1周して凄いよな。
本編見てるときはそんなに感じてなかったけど、SEED世界って「パイロットのメンタルがMSバトルに大きく影響する」んだなぁって。なので「カガリは今泣いているんだ!」って、めっちゃクリティカルヒットだったんだなぁと20年を経て理解できた。アコードは「遺伝子に応じた役割を果たすことを人生の意義と考えている人間」なので、その意義に疑問符を付けるとめっちゃデバフになる、ってのも一貫してる。
シンとデスティニーの無双状態見て、キラやアスランと違ってごく一般的なコーディネーター家庭出身からこの才能を見いだしたデュランダルって少なくともその部分は本当に優秀だった感あるよな。「SEED Destinyでデュランダルが勝っていた場合はその後ファウンデーションと戦うことになるから、対アコード戦を想定して無我の境地で戦えるシン+デスティニーを用意していた」って説をネットで見てなんか感心してしまった。しかしこれを踏まえるとゆかりん王女がデスティニープランを基盤にしてるのに、そのシンを舐めてるのはえらい意味不明になるんだけど。
自分は「アスラン・ザラは作り手側が意図していない魅力に溢れたキャラ」と20年間言い続けてきたような気がするのだが、実際に出てきたら作り手側の意図通りに大人気だった。ファンもアンチもネット上でアスラン・ザラを20年擦ってきたわけだが、実際出たら事前の予想を遙かに上回ってバズりまくったわけで、何周も回った結果大スターだよな。
終わりに
視聴して改めて思ったけど、やっぱり『ガンダムSEED』ってオンリーワンな作品だ。単にブロックバスターと言うだけでなく、作品を通して視聴者側が抱えて共有しているものが唯一無二で、これは作品の提供側が調整して出来るもんじゃないなぁって。特別本作のファンでも無い一方でアンチのことは当時から嫌いだったので、その辺が沸かずに楽しめたのは良かった。
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