2020年放映。先鋭的な時間ギミックを盛り込むことで知られるクリストファー・ノーランの真骨頂と呼べる作品。難解と言われつつも本筋は理解できるように作られていたり、最後に待っている友情には感動できたり、ノーランは自分がやりたいことと大衆に歓迎されることを作品に巧く盛り込む名手だと感心する。

作品紹介

「ダークナイト」3部作や「インセプション」「インターステラー」など数々の話題作を送り出してきた鬼才クリストファー・ノーラン監督によるオリジナル脚本のアクションサスペンス超大作。「現在から未来に進む“時間のルール”から脱出する」というミッションを課せられた主人公が、第3次世界大戦に伴う人類滅亡の危機に立ち向かう姿を描く。

主演は名優デンゼル・ワシントンの息子で、スパイク・リー監督がアカデミー脚色賞を受賞した「ブラック・クランズマン」で映画初主演を務めたジョン・デビッド・ワシントン。共演はロバート・パティンソン、エリザベス・デビッキ、アーロン・テイラー＝ジョンソンのほか、「ダンケルク」に続いてノーラン作品に参加となったケネス・ブラナー、そしてノーラン作品に欠かせないマイケル・ケインら。撮影のホイテ・バン・ホイテマ、美術のネイサン・クローリーなど、スタッフも過去にノーラン作品に参加してきた実力派が集い、音楽は「ブラックパンサー」でアカデミー賞を受賞したルドウィグ・ゴランソンがノーラン作品に初参加。 - 映画.com

前置き

2020年放映作品を超今更になって視聴。何の因果かジョン・デビット・ワシントンが主人公してる作品を「ザ・クリエイター／創造者」（記事）から続けて見ることになった。ちなみにデンゼル・ワシントンの息子ってことも上の引用分を見て初めて知ったけど、この驚きも凄い今更なんだろうな。

クリストファー・ノーランってよく考えると一番見た監督だと思う。バットマン三部作は見たし、『メメント』、『プレステージ』、『インセプション』、『ダンケルク』って見てるのか。そんな状態なのに、4～5年以上してからようやく見たわけですけれど。その間にNetflixでサムネイルだけやたら見たんだけど、これ本当にラストのシーンだったのね。

感想

難解……？である。ノーラン作品が時間に関してキテレツな作品ばっかり作ってきてそれも見てきたのにそれでもよく分かんないというか。なんというか本筋は分かるんだけど、緻密だなと思える部分とこれ合ってるか？って不安になる部分が同居していて結果的に腑に落ちない感じである。

映画【TENET テネット】攻略-文系にもやさしい徹底解説・考察

検索したらライターISO氏の超力作な解説（こういう記事は未来永劫残ってほしいけど、やっぱりというかまぁnoteか……）があったので、これを読んで答え合わせをしていったが、一応大体合ってた。概ね「こう解釈するしか無いと思うんだけど、やっぱり合ってたんだ」みたいな感じで「えっ？そうだったっけ？」って部分はそんなになかった。ただ順行と逆行を繰り返してる部分があるのはこれ見ないと分かんなかったと思う。なんか「マスク付けてないじゃん」って場面合ったけど、マスクの有無で順行と逆行が分かるようになってるワケね（まぁ、私は初見で分かんなかったんですけど……）。そういうわけで一見の視聴者に取り敢えず「あらすじ」レベルのことは理解させたノーラン凄いな。

思い返すに、キャットが撃たれた後主人公が時間逆行する辺りまで、主人公がどういう所属でどういう動機で動いているのか良く分かんないのが、時間ギミックより難解だった気がする。飛行機ぶっ込んで火事起こしたら倉庫開くんじゃね？の辺りは「この規模の作戦やれるようなチームに主人公って所属してるんだっけ？」ってなってた。オペラハウスの後に謎の組織TENETのメンバーになってエージェントやってるんで良いんだよね？プリヤのとこ行って、セイターのとこ行って、とかのエージェント業の辺り何やってるんだこれ感あった。なんか敵のことより味方側のことのほうがよく分かんない珍しい作品だったな。

あと正直コイツ居るか？って感じのキャラがチラホラいるのが混乱を招いている気もする。君誰？ってなるのが凄い多かった。ギミックとかが主でキャラは2の次なんだろうな。その一方で途中から「こいつが主人公なのでは……？」状態だったニールの最後がツラすぎる。私はこういう男に弱いんです。ノーラン映画は理屈っぽい印象の裏腹に基本テーマはシンプルで良いね。

終わりに

凄いもの見たなぁ。当時話題になってたのもよく分かる。別に消化できたなんてことないけど満足は出来た。何か部分部分が腑に落ちなくても、「時空を越えた友情物語」であることで良いもの見れたで終われるのがベテランの仕事という感じである。