ロマンシングサガ2 リベンジオブザセブン

1993年にリリースされた作品を約30年後の2024年にリリースしたリメイク作品。

自分が知る限りゲームにおける最高のリメイク作品である。「名作ではあるが色々な意味で怪作」という人に勧めづらかった作品が、まさか普通に進められる名作になるとは意外だった。作品をかなり理解していないと出来ないよう手の入れ方をされていて、色んな部分に「英断」を感じる。

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あらすじ

帝国暦1000年。
恐ろしい魔物が蔓延り、覇を争う国々の戦乱が絶えぬ世界。
人々は混乱の世に現れ世界を救うとされる'七英雄'の伝説の成就を待ち望んでいた。

ある日、かの七英雄のひとりクジンシーがバレンヌ帝国の都アバロンを急襲。
人々を蹂躙し、帝国の勇猛なる世嗣ぎヴィクトール皇子の命を奪い去ってしまう。

伝説は偽りだった。その事実が人々を絶望と悲しみに染め上げる中、
ヴィクトールの父である皇帝レオンは、強大な力を持つ七英雄への復讐を固く誓う。
魔道士オアイーブより授かった'伝承法'により、
己の命と引き換えに反撃の活路を見出し、もうひとりの息子ジェラールに自らの力と記憶を伝承した。

こうして今、帝国の皇帝たちと七英雄との長きに渡る激しい死闘

-遥かなる戦いの詩-の幕が上がる。 - 公式サイト

前置き

オリジナル版はプレイ済み。そういうわけで30年を経た猛烈な進化に大層感動した。あんまりリメイク・リマスターってやらないほうなんだけど、発売前に伝え聞いた体験版の評判がかなり良かったのでよしやるかというわけで、記念にオアイーブの元ネタが出てくるタニス・リーの『冬物語』(記事)を読むくらいには楽しみにしていた。

なんだけどPC版(Steam版)はCS版にたいして1日遅れなのでなんかそこで出鼻挫かれてしまった。体験版からセーブデータ引き継げるんだからせめて事前にやっておけば良かったかな。クリアまでかなりかかってしまった。

キャラクターデザイン

本作のキャラクターデザイン、マジで好き……(←小学生並みの感想)。レインボーマフィアに犯されたゲームが大変なことになっている昨今、リメイク・リマスターって聞いても身構えてしまうんだけど、まさしく理想的なデザインしてる。

あんまり比べるのも良くないんだけど、同時期に出たリメイク版「ドラゴンクエスト3」がキャラクター衣装の変更や、性別を男女ではなく「タイプ1・タイプ2」と表記したことで荒れているのを見ると「同じ会社からほぼ同じタイミングで出ているのに、どうしてこんなに落差あるんだ……?」と首を傾げてしまう。

ストーリー

最終皇帝は男を選んで名前はジェラール2世にした。漫画版の最終皇帝ってジェラールの孫なんだけど、何だろう……リメイク版だとおばあちゃんはアバロンのダニなんだろうか。

30年を経た表現の進化の結果、キャラクターへの愛着が全然違うのが凄い。ジェラール時代の初期メンバーに思ったより愛着沸いてたので、年代ジャンプで一掃されたときオリジナルやっててこうなるの知ってるのに意外とショックだった。ジェラールとアバロンのダニはさぁ!結局どうなったんですかね!

そういう感じで、オリジナルではルドン高原で謀殺しまくってたけど今回はやらなかったなぁ。あとインペリアルガードが「ほぎー」した時なんか結構真剣にショックだったよ。オリジナルにはこの展開無いから真顔になってしまった。

「七英雄の記憶」で七英雄(とオアイーブとサクザー)の掘り下げバッチリやってくれたの嬉しい。30年の間に2.5次元舞台とかソシャゲとかあって、その時点で追加された設定も結構あるそうなのだがその辺を履修していないこともあって色々ビックリした。リーダーはワグナスなんだけど人間関係の中心がノエルというか、七英雄側の主人公ってノエルなんだな。

これのおかげで、かつては怪しい奴扱いだったオアイーブが大分理解できるキャラになっていて良かった。あと、まさかクジンシーとロックブーケ結構キテルじゃん……ってなるとは思わなかった。「あんた今2つ言ったわよ」良いよね……。

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過去の七英雄の解像度が上がったおかげで今の姿との落差が凄い悲しい。分かりやすく大変化したボクオーンは冷酷なように見えて一緒にワグナス助けに来てくれるような「いいとこあるじゃん」な良さがすっかり無くなっていたり、見た感じあんまり変わっていないノエルが実はしっかりおかしくなっているのが今の表現では声や表情で分かるようになっているのが素晴らしい。でもやっぱつれぇわ!

リメイクってラスボスに悲しい過去が付くとなんやかんや救済が入ったりして論争になったりもするので(同じスクエニのピサロとかそんな感じだった)、「あくまで過去は過去なので、引導を渡す」で通したのは英断だなぁ。

ゲームシステム

総じて良くなったけど、一番の理由は「可視化」だなぁ。オリジナルってマスクデータだらけで、しかも作中で出てくる情報が食い違う(各クラスが「○○が得意です!」って得意武器を言うけどそれが間違っていたり、閃き特性はそれと違ったりする)という、「よくこんなんで評価されたな」と感心する不親切具合。これがリメサガとなって、なんもかんも分かるようになって感動する。

オリジナルは弓と小剣が弱くて物理攻撃は大剣あればいいだろ的なバランスだったので、それを訂正してどの武器も強くなっていて良かった。弱点が表示されるシステムで自然と色んな武器を使うように誘導しているのも良い。アビリティの要素も含めて大体どのクラスも使う要素あるんだよね。パリイがネタ扱いだったベア族が防御が重要になる高難易度で大活躍するとか、当時を知ってると感動する。

素材を集めて装備開発していくの凄い今風の仕様だけど、本作だと違和感凄いというか、国力に直結する開発の素材集めを皇帝がやってるってどういうことだよ!その後、帝国大学の報酬に素材一杯あるの見てひっくりかえってしまった。それ報酬にするんじゃなくて開発にまわしてあげてよぉ!

この素材要素のせいで街の探索が重要になってくるので、「開発を進めるために、現在行けるところにはなるべく行って回収出来る素材を集める」いうインセンティブが働くのが年代ジャンプのある本作と相性悪い気がする。なんか中途半端に各地の事件に首突っ込んだ状態で年代ジャンプする結果になりがちで、あっちこっち放置してるみたいになる。

自分の場合、沈没船イベントを放置していたらギャロン戦の後スービエ第2形態と戦うことになったんだけど、これ放置しないと見られない展開らしい。その後てっきり沈没船イベント終わったらヒラガがレオンブリッジ直してくれると思ったら関係無くて、ようやくワイリンガ湖に着いたら海の主と娘が普通にいて「スービエに吸収されてなかったっけ?」ってなった。こういう感じのことが起こりがちなんだな。

不満というかなんとかしてほしいのは、陣形は「仲間になった時点で使える」ようにするか、「(アビリティと同じように)使用回数で使える」ようにして欲しかったなぁ。皇帝退位を出来る回数が限られているから謀殺しなければ集められないんだけど、オリジナル以上にやりたくない。この仕様を考える度に思うのだが、読むだけで陣形を作れるような指南書を作ったゴブリンって凄かったんじゃないゴブ?

終わりに

つらつら書いてきた通り非常に良いリメイクだったので、この方向性で続いてほしいなぁ。まぁ本作は「改良の余地がある荒削りな部分」が多過ぎたってところもあるとは思うのだが……。

この方向性で他にリメイクして欲しい作品の代表は『ファイナルファンタジー5』なんだよなぁ。でも3Dで「風の様子が変なのだ……」ってやられたら堪えられる自信が無いのだ……。

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