ななしのアステリズム 全5巻 – 小林キナ

女子中学生三人組のグループが全員片思い状態の三角関係になっているという百合作品であるが、途中から男性キャラも加わってヘテロ関係が加わる。なので三角関係百合を期待していると肩透かしになってしまったのはちょっと残念。

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期待の百合作品ということで話題になっていたので気になっていたのだが、そのうち「百合だと思っていたのに!」という声が上がってくるようになって「なんだなんだ?」と思っていたら結局打ち切りになってしまったらしい。それで先日最終巻が出たのでまとめて読んだ。

おんなじように『百合を期待していたのに違っていて批判された』というと「恋愛ラボ」がそんな感じだったと思うが、あれはどう考えても男子が出てきてニヤニヤシーン大盛りになってからが本番なのでちょっと毛色が違う感じ。実際に読んだ印象だとスクールランブルなんだよなこれ。司の外見がわざとやってんじゃないかってくらい天満に似ているので男の子っぽい口調とスポーツ万能設定に変な違和感があった。

読んでみると第1話の時点で女三人の三角関係百合を期待した人たちの気持ちはよく分かる。夏の大三角に関連した名前の三人が、同性同士というまだ社会が定義しきれていない(=ななしの)関係を作るという話なんだろうからこの三角関係ありきのはなしだと思うのだが、途中から男性キャラが二人加わってヘテロの関係も入ってくる。

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そこからは男性キャラに結構尺を取るので確かに言われるかもなぁ。私個人は百合は『ヘテロの関係が一般的である』という前提があっての話である方が好み(女性同士で当然の世界観という話は個人的に違和感がある)なので男性キャラは出てきても一向に構わないのだが、この二人だけのエピソードとかあるので元々提示した話からはズレてしまっている感は否めない。

みかげが司を忘れる為になんでもいいから彼氏を作って『普通に』なろうとするっていう設定がきつかった。性別を問わず相手を軽視するっていうのが受け入れられないのだ。作中でも指摘されていたが彼氏たち凄い可愛そう……。なので、そういうみかげを好きな撫子の印象も微妙になって徐々にメインの三角関係はもういいんじゃないかって感じになってしまった。もっとも打ち切りが無ければもう少し尺を割いてこの辺の問題をじっくり解決していったのかもしれない。それに比べると男の子たちは昴君も朝倉君も可愛くていいな……。

最終巻(5巻)のカバー裏で十年後くらいと思しき時代の光景が描かれているが、司は彼氏がいるんだよな。夏の大三角形は「鷲」座のアルタイルが彦星、「琴」座のベガが織姫で、「白鳥」座のデネブがカササギだから、なんとなく仲間外れ感のある白鳥が結ばれないのは既定路線だったのかもなぁ。

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