「小説」タグアーカイブ

バービーはなぜ殺される – ジョン・ヴァーリイ

人体改造が当然となった未来世界での物語を手掛けることで知られるSF作家ジョン・ヴァーリイの短篇集。「まったく同一の外見を持った人間の集落で起きた殺人。殺したのも殺されたのもバービー」という、ヴァーリイならではの設定を持ったミステリ仕立ての表題作に興味を持って読んでみた。

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三惑星の探求 (人類補完機構全短篇3) – コードウェイナー・スミス

コードウェイナー・スミスの人類補完機構全短篇集の完結編。未訳だったものや、訳されていたものの単行本に未収録だったものなどが多い貴重な巻である。

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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? – フィリップ・K・ディック

海外SFのフィリップ・K・ディックの代表作の一つで、映画『ブレードランナー』の原作として有名な作品。賞金稼ぎであるリック・デッカードにアンドロイド狩りを通じて起きていく心境の変化を描く。

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製造人間は頭が固い – 上遠野浩平

来年でデビュー二十周年になる作家、上遠野浩平はずっと共通する世界観で作品を作り続けてきたが、ここで突然『実は作中の合成人間はこの製造人間が作っていたんです』という衝撃的な設定が明らかになる。

なお珍しいことに、この単行本の発売を記念して早川書房からインタビューを受けた記事が公開されている(新作『製造人間は頭が固い』刊行記念  ~上遠野浩平インタビュー~)。いっつも自分のスタイルで貫いてしまいがちな上遠野浩平が普通に敬語で話している、なんか新鮮なやり取りである。

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少女妄想中。 – 入間人間

ライトノベル分野では数少ない百合作品であるが、「叔母と姪」の近親百合を描いた作品は全ジャンルでももっと珍しいだろう。作者は電撃文庫で百合小説「安達としまむら」を書いている入間人間、イラストは「やがて君になる」の作者で百合業界では有名な仲谷鳰。

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高い城の男 – フィリップ・K・ディック

この紙きれとライターには一財産かかったが、それだけの値打ちはある──なぜなら、この二つが彼の持論の正しさを証明してくれるからだ。“〝本物”〟という言葉に実はなんの意味もない以上、“〝偽物”〟という言葉もまた無意味だ、と

SF小説家フィリップ・K・ディックの代表作。第二次世界大戦が枢軸側の勝利で終わった世界を書く歴史改変SFであり、1963年のヒューゴー賞長編小説部門を受賞している。

同様の設定の歴史改変作品は他にもあるが、『作中で、連合側が勝利した設定の小説がブームになっている』という入れ子の構造を採用し、著者が書き続けた「本物と偽物」というテーマに絡めたところがフィリップ・K・ディックのオリジナリティを発揮していると言える。

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螺旋のエンペロイダー Spin4 – 上遠野浩平

ブギーポップ・シリーズ(だけってわけでもないが)のスピンオフ連載小説第三弾「螺旋のエンペロイダー」の完結巻。『ビートのディシプリン』『ヴァルプルギスの後悔』と同様に全4巻での終了となる。

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叛逆航路 (ラドチ戦史1) – アン・レッキー

アメリカの作家アン・レッキーの第一長編であり、2013年に発表されると同年英米のSF・ファンタジーの章であるネビュラ賞、英国SF協会賞、キッチーズ賞、翌年にはヒューゴー賞、ローカス賞、アーサー・C・クラーク賞、英国幻想文学大賞という合計7つの賞を一つの作品で勝ち取った。

なお、後書きや帯で書かれているこの7つの後に日本の星雲賞等も受賞しており

『叛逆航路』単体としては、今年3月にフランス語版が受賞した Prix Bob Morane につづき全世界9冠達成。《叛逆航路》三部作としては、今年6月に第3部 Ancillary Mercy が受賞したローカス賞SF長編部門につづく全世界12冠達成となります。

アン・レッキー/赤尾秀子訳『叛逆航路』が星雲賞受賞! シリーズ12冠達成! – 東京創元社

という評価を得ている。まさしくここ最近のSF作品の中で超ビッグタイトルと言える。そんな作品だと知っていながら翻訳二巻目が出たあとになってようやく読むことになった。 続きを読む 叛逆航路 (ラドチ戦史1) – アン・レッキー

キャッチ=22 – ジョーゼフ・ヘラー [新版]

批評家から絶賛され、タイトルの「キャッチ=22 (Catch-22)」が不条理を表す代名詞となった有名作品である。実際ネット上で「キャッチ=22」で検索をかけると、書評よりも先に英語関係のサイトでこういう表現がありますと紹介されているページがヒットする。

1977年に早川書房から文庫で出ていたが長らく絶版状態であり、このたび新版として発売された。新「訳」でないのは惜しいところだが、昔から読みたかったけど機会を持たなかった私には贅沢は言っていられない。

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アルファ・ラルファ大通り (人類補完機構全短篇2) – コードウェイナー・スミス

SF作家、コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズの全短編第2弾。一万年以上にわたる宇宙史を時系列上に掲載したマニア向けの原著を和訳したもので、本巻あたりから下級民の権利獲得と<人間の再発見>というシリーズで重要な要素がクローズアップされるようになる。

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