海外SFハンドブック – 早川書房編集部

ハヤカワ文庫SFの通番が2000番を超えたことを記念して発売されたSF小説のガイドブック。東京創元社と並んで海外SF翻訳で有名な早川書房の手によるものである。

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同一シリーズの「SFハンドブック」「新SFハンドブック」は既読。前回の「新SFハンドブック」から14年たっての新しいガイドブックである。なお約440ページ中、最後の100ページ近くを署名索引と2021番までの書籍のデータ一覧が占めている。

最初に長辺と短編のオールタイムベストが掲載されているが、意外と自分の好きな作品が上位にあって驚いた。なんとなく自分が好きなものとランキングは被らないだろうなぁと思っていたがそうでもなかったようだ。でもソラリス一位はどうだろう……。

メインとなっているのは必読作家・必読書100選と題した章で、有名作家の紹介とその代表作数冊の紹介をする形になっている。これは正解だなぁ、というかSF業界はもうとっくの昔に限界集落の村になっていて、グレッグ・イーガンとテッド・チャン以降はあんまり話題になったり影響を与えたりする新人もいないからこうするしかないんだろうな。ほとんど知っている作家だったが、チャイナ・ミエヴィルだけ一度も読んだことが無い作家だった。機会があったら読んでみようかな?

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マイ・スタンダードSFの章では、作家などが自分の好きな作品について解説してくれる。だが普段読まない日本SFの作家が多いためか、知っているのが小川一水くらいになってしまった。知らない人だったが上田早夕里という人のブルー・シャンペンの解説に感心。孤独を感じるのは一人の時ではなく、良く知っていると思っていた人間に対してもなお決定的な溝があることに気付いたときである、というもの。ヴァーリイの作品は性別や年齢の差を技術で埋めてしまえるから、その「差」の理由を違いに求められないので余計そう思うんだよな。

年代別SF史の章は2000年以降が最も注目(なにせこのガイドブックの前作が2001年発売だから)であるが、知らない作家ばっかりで「ああ、この時期の作家全然読んでないんだなぁ」としみじみ思う結果になってしまった。

もうあんまり進展のない業界なので目新しいものはそんなに無かったのだが、おさらいする感じで結構良かった。新しめの作家を知らべるときにもう一回開くことになりそうだ。

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